県政ニュース87号2023秋

県政ニュース87号2023年秋を発行いたしました。

県議会での代表質問

TSMCに関する諸課題について

(1)県内地場中小企業への支援

(質問)かまたさとる  T S M Cや関連企業への人材流出が顕著になり、既存の県内中小企業の人材確保が困難な状況になってきている。最低賃金は10月8日には45円上がって898円となり、賃上げを実行するための基礎体力が十分ではないところも多く、この厳しい状況下で、労働環境の改善や賃上げを行う県内中小企業に対しての県としての支援策を講じるべき。
(答弁)知事  国や県の補助事業を活用して生産性向上や賃上げを実施する中小企業者に補助事業の自己負担を軽減する予算を今定例会に提案している。

(2)地下水涵養について

(質問)かまたさとる  T S M Cは地下水を1日約8千500トン採取し、その採取量を超える地下水を涵養する考えを表明しているが、T S M C をはじめ企業進出が増えて、涵養をする水田を確保するのは困難ではないのか。
(答弁)知事 白川中流域におけるかん養期間の拡大や冬期湛水の実施、自川中流域以外での水田湛水の拡充など、農業者の方々と連携し、具体策の検討を進めている。
農地以外においても、雨水浸透ますや雨庭、浸透性の調整池の設置など、地下水のかん養量を確保していく。

(3)排水対策について

(質問)かまたさとる 工場排水は、工場で浄化された上で、菊陽町の下水道を通り熊本市北区にある熊本北部浄化センターまで流されてくる。そこから、坪井川に流されるが、排水による汚染の検査は完全にできるか。
北部浄化センターで浄化処理を行なっているが、その際の汚染濃度の環境検査の数値を公表すべき。万が一センターで有害物質が発見された場合、その流入水を止めることは可能なのか。
下水道法に基づく有害物質の調査は28品目となっているが、県としてより多くの化学物質のモニタリング調査を行うべき。
(答弁)知事 工場排水に含まれる下水道法における対象物質は、関係法令に則って公表することは可能。これらの物質については、あらかじめ、公共下水道管理者の菊陽町が下水道法に基づき基準に適合していることを事前に確認している。
熊本北部浄化センターでは、これまでも問合せに応じ、検査結果を提供している。今後は、更に積極的な公表の方法を検討する。
また、有害物質が発見された場合については、各段階において県、菊陽町、企業が連携し、迅速かつ確実に対応する。
下水道法の対象外の化学物質については、県では熊本北部浄化センターの放流水も環境モニタリングの対象としている。モニタリングでは、規制外の18種類の金属類や有機フッ素化合物250種、そして1万種を超えるその他の化学物質等について、新たな工場が稼働する前後で変化がないか、客観的かつ科学的に環境の変化を把握していく。
「くまもと再発見の旅」不適切受給について
(質問)かまたさとる  T K Uヒューマンの調査を見逃すように指示した上司は知事ではないか。
タクシー券未使用分の160万円について、公金が含まれているので県は返還を求めるべき。この事業はそもそも、事業開始時点での制度設計がわかりづらく、どうにでも解釈されるような曖昧な部分があったのではないか。
県の内部調査だけではなく、第三者による調査をすると名言したが、第三者については、当事者や利害関係人との関係を一切排除した弁護士や学識経験者らを選任して、公正と透明性が担保された調査を行うべき。
(答弁)知事 幹部が見逃しを指示したとの疑いについては、県として第三者委員会の設置も含めて調査するが、私が見逃しを指示したということは一切ない。
タクシー券未使用分については、その適法性を調査する。
「くまもと再発見の旅」は短期間で制度設計を行い、事業を実施したことから、関係者間の連携不足や誤認等が重なったものだと思っている。
第三者の調査委員会については、外部の弁護士で構成する予定で、現在人選を急いでいる。今後、丁寧かつ迅速に調査を行う。
フリースクールとの連携と支援について
(質問)かまたさとる フリースクールやフリースクールに通う子どもたちへの経済的支援と、県とフリースクールなどの民間団体とが定期的に協議を行う場を設置すべき。
(答弁)知事 個々に様態の異なるフリースクールなどに対して、不登校児童生徒の十分な学びの保障と社会的自立の支援のためにどのような連携が可能か、子どもの居場所づくりの観点も含め、市町村とも研究を進める。
県教育委員会と知事部局の関係各課が連携して、フリースクール等の民間団体と、適宜、意見交換を行うことにより、全ての不登校児童生徒の学びの場の確保、居場所づくりに向けてしっかりと取り組む。
ケアリーバーへの支援について
(質問)かまたさとる 児童養護施設や里親などの社会的養護のケアから離れた「ケアリーバー」が施設等を退所した後、頼れる人がいなくなり孤立をしていないか、経済的に困窮していないか、必要な支援策を検討するための実態調査を行なうべき。
(答弁)健康福祉部長 今年度中に、ケアリーバーへのアンケート調査やヒアリングなどを実施し、調査結果を取りまとめ、その後の支援につなげていく。
ヘルメット着用率向上の取り組み
(質問)かまたさとる 本年4月、自転車利用者のヘルメット着用が努力義務となった。ヘルメットを購入するには経済的な負担が伴うので全国の複数の自治体では購入補助金制度を設けているところがある。県としてヘルメット着用を促す具体的取り組みを進めるべき。
(答弁)環境生活部長 ヘルメット購入の補助制度は、今後、努力義務化による着用率の変化や、既に当該制度を導入している他県等における効果等を見極めていく必要がある。
今後とも、警察や教育委員会、市町村、関係団体等と連携し、ヘルメット着用を促す取組みを着実に進める。
A Y A(思春期・若年成人)世代がん患者の支援
(質問)かまたさとる 思春期・若年成人世代をA Y A(Adolescent and Young Adult)世代といい、広くは15歳から39歳までを指す。
現在、40歳未満のがん患者は介護保険のサービスは利用できずに日常生活で必要な経費でも自己負担となっている。そのため、全国では静岡など12県で負担軽減のための補助制度を設けている。本県でもA Y A世代のがん患者の在宅療養支援の補助制度を設けるべき。
(答弁)健康福祉部長 AYA世代のがん患者が抱える介護費用の負担という全国的な課題には、国において一律に支援体制を整備すべきと考えており、これまでも支援制度の創設について、国へ要望してきた。今後も、国に対して支援制度の創設等を様々な機会を捉えて粘り強く働きかけるとともに、次期がん対策推進計画の策定過程における議論等を踏まえ、AYA世代のがん患者が安心して療養生活を送れるよう、更なる取組みを進める。

県政ニュース84号2022年秋

県政ニュース84号2022年秋を発行いたしました。

県民目線でしっかりと議論を

初秋の候、皆様には健やかにお過ごしのこととお喜び申し上げます。

さて、9月9日から10月5日まで9月定例県議会が開催されました。新型コロナウイルス対策の強化、八代海の赤潮被害にあった養殖業者支援策、災害復旧費用など総額112億円を追加補正する一般会計補正予算などの議案を可決承認しました。

9月定例県議会では、新型コロナウィルス対策をはじめ、2020年7月の豪雨災害を受けて8月に県と国土交通省が球磨川支流の川辺川に整備する流水型ダムを治水対策とする河川整備計画を策定したことについて、私たち立憲民主連合は、市民団体の検証では豪雨の犠牲者は支流の氾濫であり、ダムを造って球磨川の水位を下げても対策にならないので、流域住民や問題提起をしている市民団体と共同検証を行った上で、河川整備計画を策定するべきと求めましたが、知事は、学識経験者や流域市町村の首長の意見を踏まえて計画を策定したので、検証する考えはないと否定しました。線状降水帯の発生など雨の降り方が変化している中で、一つの地点だけで増水を一時的に抑えるダムでの治水はその効果に疑問を抱かざるを得ません。多額の税金がつぎ込まれる事業ですので、ダムありきではない効果的な治水対策を講じるべきです。

また、J R豊肥本線からの延伸で空港までのアクセスを改善しようと県が計画している空港アクセス鉄道について、半導体受託製造の世界大手のT S M Cの菊陽町進出を受けて、県がこれまで検討を進めてきた三里木駅からの分岐に加えて原水駅、肥後大津駅からの分岐ルートも検討を進めてきましたが、その検討試算で、肥後大津ルートが費用対効果が高かったことが明らかになりました。まだ方針決定はされていませんが、知事は議会の答弁で、肥後大津駅からのルート案について「将来の発展性を感じる」と述べて、現時点では肥後大津案を有力視する考えを示しました。

この問題は、私が所属する高速交通ネットワーク整備推進特別委員会でも議論になり、私からは、○TSMCや関連企業で働く人の豊肥本線乗車は増えることは想定されるが、空港を頻繁に利用することは考えづらい○現在肥後大津駅から空港まで県が乗車費用を負担している無料タクシーの空港ライナーの1日あたりの利用者は200名に満たない。TSMCができたからといって肥後大津駅から空港まで1日あたり4900人が利用するとはとても考えられない。○需要予測のベースになっている30年後の航空利用者数の622万人(これまでの熊本空港航空利用者の最高人数の倍)が過大すぎるので見直すべき○肥後大津駅から車で15分で空港に行けるのだからバスでもいいのではないか○いずれのルートも税金を400億円以上も支出する事業なので、進めるのであれば多くの県民がその必要性を納得するように、より妥当性がある予測数値を基にした説明が必要だと申し述べました。

その他にも県政の課題は色々ありますが、引き続き皆様のご意見も賜りながら県民目線での議論をしていきますので、よろしくお願い申し上げます。

県政ニュース65号2017年春

県政ニュース65号2017年春を発行いたしました。

県政史上最大の予算規模

「復興元年」とも位置付けられる平成29年度は、震災後初の本格的な当初予算となります。これまで進めてきた財政健全化の取組みを維持した上で、復旧・復興の歩みを更に力強く進めるとともに熊本の将来の発展に向けた礎になる予算として提案されました。昨年12月に策定された「熊本復旧・復興4カ年戦略」に掲げる施策を基本として、被災者の生活再建と被災地の復興を第一に、熊本の創造的復興を更に加速させる施策を着実に推進するよう編成されており、一般会計の総額は、当初予算としては県政史上最大の8,857億円となります。

熊本地震の初動を検証

熊本地震発生からおおむね3カ月間の行政の対応に関する検証報告書を公表。職員や県民からのアンケートも実施しながら、「避難所運営に職員を取られ、本来業務に支障が生じた」「人員不足で集積拠点に支援物資が滞留した」などの課題をあげて、今後の改善策をまとめている。報告書はアンケート結果まで含めると600ページを超える内容で、県のホームページで公表されており、熊本地震の教訓を広く共有するとともに、県地域防災計画の改定に生かされることになります。新年度は発災後4カ月から1年までの取組みが検証されます。

復興基金事業の迅速化を

県には総額523.2億円の復興基金が造られました。これまで、地域コミュニティ施設等再建支援事業や、前回の議会の質問で私が取り上げた液状化宅地への復旧支援事業など、総額147.3億円が予算化されてきました。しかし、この他にもこれまでの支援の枠では対応できない事業について、早急に予算化して被災者の生活再建に充てるべきであると求め、6月定例会で市町村や被災者等の意見を踏まえて追加事業の予算化が図られることとなりました。

交通網の復旧、着々と

崩落した阿蘇大橋の復旧工事については、2020年秋の完成を目指し、全長345mで元の位置から約600m下流に建設されます。
また、地震によって不通となっているJR豊肥線・肥後大津―立野(南阿蘇村)間(9・7キロ)について、JR九州が4月から、復旧工事に着手することが明らかになりました。肥後大津―立野間では被害が約50か所に上ったものの、レール周辺の土砂崩落防止対策の見通しが立ったことから、復旧工事が可能と判断されたものです。全線開通の時期は見通せませんが、熊本-阿蘇間の通勤・通学に欠かせない重要な路線ですので、引き続き早期の復旧に向けて働きかけていきます。

新年度の委員会は

厚生常任委員会に所属することになりました。また、議会運営委員会と特別委員会は引き続き、高速交通網整備推進特別委員会に所属します。本年度も皆様からご意見をいただき、生活者目線の政治を進めてまいりますのでよろしくお願いします。


4act_m熊本城マラソン、なんとかサブ4はキープ!!ご声援ありがとうございました。

県政ニュース64号2017年新春

県政ニュース64号2017年新春を発行いたしました。

県民生活の復興へ、歩みを!!

12月議会で通算30回目の一般質問を行いましたので、以下にその要旨を報告します。

news1

一般質問(要旨)

熊本復旧・復興4か年戦略について

(1)推進体制について

(質問)かまたさとる 「熊本復旧・復興4カ年戦略」は、今後4年間で重点的に推進する主な取り組みを明らかにしたものだが、これからこの戦略を進めていく体制は大丈夫か。
県職員のストレスチェックは5月に実施されているが、震災からの復旧・復興業務を半年間以上遂行してきて、現在、そのストレスはかなり高まっているのではないか。

(答弁)総務部長 復旧には多くのマンパワーが必要。他県から100人を超える派遣職員を受け入れたほか、約80人の任期付き職員の採用を進めている。引き続き事業自体の見直しのほか、業務の外部委託や組織の効率化などを行いながら、必要な組織体制の整備に取り組む。
職員のストレスについては、各種研修を企画するとともに相談窓口を活用し、メンタルヘルス不調を未然に防止する取り組みを進める。

(2)業務継続計画(BCP)について

(質問)かまたさとる BCPとは業務継続計画のことで、行政自らが被災した際、優先的に実施すべき業務を特定し、業務の執行体制や対応手順、継続に必要な資源の確保等をあらかじめ定める計画。市町村と民間企業のBCP策定支援をどのように進めていくのか。

(答弁)知事公室長 熊本地震発生時点では、BCPを策定していた市町村は13市町村。事例紹介や技術的助言、研修会の開催などの支援を行い、全市町村での策定を進めていく。
(答弁)商工観光労働部長 より多くの県内企業でBCPの重要性についての理解促進と、実効性のあるBCP策定に向けた取り組みが進むよう支援の強化に努める。

復興基金の活用について

(1)一部損壊への支援金について

(質問)かまたさとる 全壊、大規模半壊、半壊の住宅は国などの支援金や修理費の補助制度が適用されるが、一部損壊の住宅の世帯には公的な支援が一切ない。そこで、一部損壊世帯にも義援金支給をすることが決定されたが、その支援内容は、修理費100万円以上の一部損壊住宅の世帯に10万円を支給するという内容で、半壊では57万6千円の応急修理費が補助されるの比べて少なすぎる。義援金と復興基金を活用して、一律に支援金を配分した上で、さらに修理費100万円以上の世帯に対してその修理費の負担を軽減できる金額を上乗せをするという形に見直せないか。

(答弁)知事 復興基金は一定の公共性・公益性はあるものの国・県・市町村等による措置ができないもので更に踏み込んだ支援が必要なものに対応することとしている。現時点においては一部損壊世帯への支援に復興基金を活用することは考えていない。
(2)液状化宅地の復旧への支援について

(質問)かまたさとる 熊本地震では、宅地の液状化が顕著にみられた。熊本市南区近見地区から川尻にかけての熊本市道沿いの液状化は約5kmにわたって被害が広がっている。現在の国の補助制度は、道路復旧などの公共工事と民家対策を一体化することで個人負担を減らせる事業があるが、3000㎡の区域で住民の3分の2以上の同意が必要であり、合意形成が難しく、あまりにもハードルが高い。液状化宅地の復旧支援に復興基金の活用ができないか。

(答弁)知事 液状化宅地への復旧について復興基金を活用した支援を行い、被災者の負担軽減を図り、一日も早い生活再建を実現していく。

水俣病公式確認60年を迎えて

(1)風化させない取り組みについて

(質問)かまたさとる 水俣病の悲惨な歴史を風化させないように後世に伝えていく取り組みを。

(答弁)知事 水俣病の歴史や教訓を国内外、次世代に伝えていくことは、被害の拡大を防げなかった本県の使命。地元市町や関係者と一体となって水俣病の教訓が風化しないよう取り組む。
(2)不知火海沿岸住民の健康調査の実施について

(質問)かまたさとる 水俣病特措法には、「不知火海沿岸住民の健康などに関する調査研究を政府が積極的かつ速やかにおこない、結果を公表する」と定めてある。施行からすでに7年が過ぎているが、いまだに実施されていない。被害の拡がりを調べ救済の線引きの妥当性を検証するために県は国に対して早期の健康調査の実施を強く求めるべき。

(答弁)知事 今後とも国に健康調査の実施を求め、調査研究に協力する。

こどもの貧困対策について

(1)こどもの貧困実態調査について

(質問)かまたさとる 4月に地震が発生して、生活環境が一変した家庭も少なくない。こどもの貧困の実態調査を行ったうえで、就学援助の利用状況や給食費や食生活、健康状態などについて必要な対策を講じるべき。

(答弁)健康福祉部長 熊本地震の影響による子どもの貧困の実態について早急に把握することが必要。経済的な困窮度に加え、家庭の生活環境や学習機会の確保等に関する調査について具体的に検討を進める。
(2)ひとり親への支援について

(質問)かまたさとる こどもの貧困で深刻なのは母子家庭などのひとり親世帯の子どもである。ひとり親は子育てと仕事の両立が難しく、不安定な雇用形態を選ばざるを得ないことが影響している。他県では、ひとり親の自立を促すために、看護師、介護福祉士、保育士などの資格を取得するために必要な学校への入学準備金や資格取得後に就職するための準備金を貸与しているところがある。ひとり親家庭への支援を充実できないか。

(答弁)健康福祉部長 ひとり親の経済的自立を図るため、看護師等の資格を取得するために専門学校等に通う間の生活費の給付を行っており、今年度から入学準備金と就職準備金の貸付も開始した。今後も様々な支援に積極的に取り組む。

(3)こども食堂への支援について

(質問)かまたさとる 家庭で十分な食事をとれない子どもたちのための「こども食堂」が県内10数か所で開設されているが、運営者が寄付などを募って食材等を調達し、ボランティアで運営されている。県として何らかの支援ができないか。

(答弁)健康福祉部長 こども食堂は11月末現在で県内で16カ所開設されている。こども食堂の現状を見極めながら必要な連携を図っていく。