県政ニュース91号2024年秋を発行いたしました。
県政の課題 木村知事に初質問
晩秋の候、ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
衆議院議員選挙を終えて与野党の勢力構図が変化し、今後熟議の国会が期待されます。県政においてもさらに生活者重視の政策が推進できるように引き続き取り組みを進めていきます。
さて、9月議会で就任から半年が経過した木村新知事に対して一般質問を行いましたので、以下にその要旨を報告します。
1 知事の発言について
(質問)かまたさとる 知事は、当選祝いのコチョウランは配ったのではなく預けたという言い訳で公職選挙法違反の疑いを乗り切ろうとされているが、知事は本当に預けたのか、預けたのはコチョウランだけか、その他のお祝いの品はどこにも預けてないのか。次に、環境大臣と水俣病患者・被害者団体との懇談の場でのマイクスイッチオフ事件で、同席していた知事は、後の記者会見で、環境大臣は被害者団体からつるし上げに遭っていたと発言した。県民である水俣病被害者が大臣に意見を述べている行為を、県民の代表たる知事がつるし上げと表現されたことは極めて残念。そして、極めつけは、県立高校に普通科は要らない、事務職なんて要らない、そんな子たちを育ててはいけないという発言。知事は、本気で普通科や事務職は要らないと考えているのか。
(答弁)知事 当選祝いの品の中で知人に預けたのはコチョウラン11鉢のみであり、知事公邸入居後に全て回収している。つるし上げという表現について、水俣病関係団体の皆様が環境大臣や環境省職員に訴えておられた状況を記者会見にて私が表現したものであるが、私の意図に沿わない発言であると感じ、その場で直ちに訂正した。次に、高校の普通科及び一般事務職に関する発言は、求人と求職のミスマッチが顕著なエッセンシャルワーカーの魅力を若い方々にしっかり伝え、広く職業選択について考えて欲しいとの強い思いから今回の発言に至った。普通科や一般事務職が不要とは全く考えていない。丁寧な説明を尽くすことを肝に銘じ、職務に全力で取り組んでまいる。
2 TSMC第3工場誘致について
(質問)かまたさとる 知事は8月にTSMC本社を訪問し、県内への第3工場誘致を求めた。第1工場が本格稼働していない段階で交通渋滞は大変なことになっており、地下水採取や工場排水についてもどのような影響が出るのか全く明らかになっておらず、労働力不足、農地減少等への対応もこれからの状況。不安材料が解消されていない段階で、さらに県民の不安を拡大させる第3工場誘致を行うのは無責任ではないか。そこで、1点目として、第2工場で採取される地下水量の涵養計画は確認されているのか、2点目として、第3工場の熊本建設によって見込まれる効果と懸案事項への対応について、知事はどのようにお考えか。
(答弁)知事 1点目について、JASMから本年2月に地下水涵養計画書の提出があった。県の地下水涵養指針に基づき涵養量が算定されており、第1工場と第2工場に関して、地下水の採取量と開発に伴い減少する涵養量の合計を超える涵養がなされ、かつ実現性があることを確認した。2点目について、将来世界的に必要とされる新しい産業づくりに本県が積極的に関わることで、次世代に引き継ぐ産業基盤の構築が可能となる。TSMC会長は、第1、第2工場を成功させること、地元の賛同が得られることを前提に、第3工場建設を検討する旨の発言をされている。地域の課題を解決し、受入環境整備を行うことで、次世代に輝く熊本づくりに全力で取り組んでまいる。
3 水俣病問題について
(質問)かまたさとる マイクスイッチオフ事件によって、水俣病問題が未だに終わっていないことが広く全国に知れ渡り、国と県もこれまで以上に水俣病患者・被害者に向き合わざるを得なくなった。そこで、療養手当の拡充についての国の受止めと今後の県の取組、未認定患者による明水園の利用、そして県が立ち上げる考えを示した交通機関検討チームについて、いつまでにどのように取り組むのか。
(答弁)知事 療養手当の拡充について、国は厳しいとの認識を持っているが、引き続き、国に対し昨今の物価高騰を踏まえた増額を求める。未認定患者の明水園利用について、水俣市の施設であるため、市の意向が重要であり、市もこれからの課題と認識されている。通院等の交通手段の確保について、県と水俣市、芦北町、津奈木町の3市町による地域公共交通の在り方検討会議を9月に開催し、現在、公共交通の利用状況調査を実施している。
4 戦後80年を迎えるにあたって
(1)県内施設の有事拠点指定と戦後80年の事業の実施
(2)被爆・戦争体験を語り継ぐ取組
(3)被爆二世への援護制度の充実
(質問)かまたさとる 日本では、この10年ほどで防衛政策が大転換しており、熊本においても、熊本空港、熊本港、八代港が特定利用空港・港湾に指定され、有事の際に攻撃目標とされることが懸念される。来年は戦後80年の節目の年であり、県民全体で不戦の誓いを確認する事業を行うべきと考えるが、知事の平和への思いについて尋ねる。次に、被爆・戦争体験を語り継ぐ取組について、被爆体験を語れる方が年々減少していることから、県内全ての小中高校で被爆・戦争体験を聞く平和学習の機会を設けていただきたいが、教育長の見解を尋ねる。3点目に、被爆二世への援護制度について、被爆二世健診は受診できる医療機関が少なく、実施時期も指定されるなど条件整備が遅れている。受診できる医療機関の拡大と受診期間の延長、がん検診の追加の可否について、健康福祉部長に尋ねる。
(答弁)知事 今日、私たちが享受している平和と繁栄は、先の大戦における戦没者の方々の貴い犠牲の上に築かれたものであり、戦争の悲惨さ、平和や命の貴さを次の世代に語り継いでいくことは、今を生きる私たちの使命である。できることを一つ一つ実践してまいりたい。次に、特定利用空港・港湾は、自衛隊や海上保安庁が平素から必要な空港・港湾を円滑に利用できるようインフラ管理者との間で枠組を設けるものであり、有事における利用を対象としていない。最後に、戦後80年事業の実施について、引き続き、戦没者追悼式や小中学校における学習活動などを着実に進めるとともに、県民の皆様に平和の大切さを伝えていく取組をしっかり考えてまいる。
(答弁)教育長 被爆・戦争体験を語り継ぐ取組について、小中学校では、戦争体験者から直接話を聞いたり、戦争施設や遺跡を見学したり、修学旅行で資料館訪問や語り部の方の講話を聞く取組が行われている。県立高校では、平和で民主的な国際社会の実現について生徒に考えさせる授業が実践されている。このような活動がさらに多くの学校で実施されるよう周知していく。
(答弁)健康福祉部長 被爆二世への援護制度について、健診実施機関に今年度から新たに民間の医療機関にも参画いただき、県内13か所で受診が可能となった。受診できる日程についても、今年度は半数を超える医療機関で1週間から2か月程度の期間を設けていただいた。がん検診の追加については、被爆二世検診は国からの委託で実施しているため、引き続き国に対し要望していく。
(4)平和ミュージアム設立への支援(要望)
5 吃音について
(1)幼児期における吃音への支援
(2)学校における吃音への理解促進
(質問)かまたさとる 県内市町村の3歳児健診問診票を収集し、吃音の項目が明記されているか調査したところ、明記している自治体は僅か4自治体だった。熊本県内では熊本市のみであり、さらに一部の市町村の問診票には、どもりという差別的な言葉が使われていた。問診票への吃音項目の明記と、どもりという表現の改善を働きかけていただきたい。また、各児童発達支援センターで吃音の相談が可能か、言語聴覚士が在籍しているのか。次に、小中高校における吃音への理解促進について、全国言友会連絡協議会がリーフレットと動画を作成しており、本県でも特別支援教育コーディネーターにこれらを紹介し、吃音に関する研修会を開催すべき。
(答弁)健康福祉部長 1点目について、熊本市以外の市町村に対しても、問診票への吃音の明記と、どもりという表現の改善について働きかけていく。2点目について、吃音の相談に関しては、県が圏域ごとに指定している児童発達支援センターが対応しており、療育サービスの利用に関する助言等の支援を行っている。センターの約半数には言語聴覚士が在籍しており、在籍していないセンターにおいても、地域の言語聴覚士と連携し、専門的な支援を行う体制を整備している。
(答弁)教育長 議員紹介のリーフレットや動画は、9月に実施した特別支援教育コーディネーターによる情報交換会で相談対応に活用するよう周知した。吃音の症状や正しい接し方など理解啓発に取り組むことで、吃音のある児童生徒の学びを支える体制を整える。