県政ニュース71号2019年 新春

昨年12月議会で一般質問に立ちました。痛みを抱えている県民に対して県として取るべき対応について求めてまいりました。以下にその要旨を報告します。

障がい者雇用水増し問題について
(質問)かまたさとる この問題は、中央省庁は処分なし。障がい者や民間企業を裏切る行為を長年行ってきて処分なしというのは理解に苦しむ。地方自治体では、数県で知事や副知事、関係職員の処分を行う。本県も処分を行い責任の所在をはっきりさせて二度とやらないという決意を示すべき。
(答弁)知事 本県においても障がい者の雇用が、適切に算定されていないことが判明し、大変申し訳なく思っている。関係職員の処分については本県では懲戒処分の指針を定めているのでそれに沿って、適切に判断する。
水俣病公害認定50年を迎えて

(1)沿岸住民の健康調査について

(質問)かまたさとる 水俣病被害者救済は、1974年施行の公健法や1995年の政治決着、2009年の特措法など、「つぎはぎ」だらけで、いまだにすべての被害者救済につながっていない。被害がどれだけの範囲におよんでいるのかその実態を掴み、必要な救済策を講じるべき。その前提となる沿岸住民の健康調査を国はやる気があるのか、そして、具体的に国は調査手法の何を開発しているのか、その開発が進まない要因は何なのか、いつ頃の実施を予定しているのか。
(答弁)知事  国では、現在、調査手法の開発に向けて「有効な診断方法の開発」「患者の経年的変化等の把握」「水銀へのばく露の量と症状等への関係の解明」等の課題について基礎的見地を得るための研究が行われている。県としては、調査手法の開発が進むよう関係者への協力要請や調整など、今後とも可能な限りの対応を行う。

(2)認定審議業務について

(質問)かまたさとる 水俣病の認定審査は2015年から現在まで、918名の申請者を審査して認定件数はたったの4名。認定審査業務は、県による疫学調査と神経内科,眼科,耳鼻咽喉科の医学的調査が実施されて認定審査会の審査の上,知事による認定又は棄却の処分が行われる。その第一段階である疫学調査は県職員が聞き取るものだが、その対応について、申請者の立場に立たない、丁寧さに欠ける疫学調査が行われているのではないかという問題点が指摘されている。「知事の任期中に認定審査を完了する」とのマニフェストの公約を実現するために、棄却や取り下げを進めている、との指摘を受けないように、認定審査業務は丁寧に進めるべきだ。
(答弁)知事 今後も、申請者の状況に十分配慮しながら迅速かつ丁寧に認定審査を進める。

(3)水銀フリー社会の実現に向けて

(質問)かまたさとる 「国内外の水銀フリー社会の実現に向けて貢献する」ことが熊本県の率先取組みの基本原則となっているが、県が管理する庁舎や施設、道路などの蛍光灯や水銀灯はまだ、LEDに切り替えられていないし、学校や警察などの施設の水銀灯の設置状況が把握できていない。
水銀製品の使用削減や代替製品への転換促進を訴える熊本県がいつまでも水銀製品を使用すべきではない。設置の状況をどう把握して今後どうしていくのか。
(答弁)環境生活部長知事部局では平成22年度から計画的にLED照明への交換を行っている。県管理道路については、平成27年度に水銀灯などの設置状況調査を実施し、順次交換を行っている。教育委員会、警察本部については、今後更に転換を進めていくために既存の照明器具の調査を行う。
熊本地震被災者の医療費窓口負担の免除について
(質問)かまたさとる 仮設住宅やみなし仮設住宅に入居を継続している世帯は、自力での生活再建をすることができない高齢の世帯が多数で、生活が苦しいうえに、健康状態でも、もともと持病を抱え、震災と長引く避難生活によって持病が悪化している方々や、震災をきっかけに病気を発症した方々、社会生活を営む中で介護や何らかのサポートを必要とする方々。この現状をふまえ、被災された低所得者と仮設住宅入居者に対象を限定して医療費窓口負担の免除ができないか。
(答弁)知事 市町村に意向がないことから、県の財政支援を復活することは難しい。
生活困窮者自立支援事業の拡充・強化と体制整備について
(質問)かまたさとる 10月から生活困窮者自立支援法が改正され、基本理念や都道府県の役割が明確化されるとともに、自立相談支援事業や就労支援事業、家計改善支援事業の一体的実施を促進するなど、生活困窮者に対する包括的な支援体制が強化されることになった。本県においても改正に合わせて支援体制を強化すべき。
(答弁)健康福祉部長 各地域で相談支援員や福祉事務所等の関係者が参加する「支援調整会議」を活用し、生活困窮者の方を確実に相談につなげ、包括的で早期支援に努めていく。市町村への支援は、全ての市町村に相談窓口を設置してそこに配置している相談支援等の研修は県が主催して行っている。今後も生活に困窮している方々の自立に向けた支援体制の充実、強化に努める。
犯罪被害者等支援と加害者家族への対応について

(1)犯罪被害者等支援条例の制定について

(質問)かまたさとる 犯罪等の被害にあった方の多くは、犯罪そのものによる直接的被害だけでなく、それに伴い生じる、精神的なショック、再び被害にあうのではないかといった不安、捜査・公判への対応に係る精神的・時間的負担、周囲の目や誤解に基づく中傷、過剰な報道といった、いわゆる二次的被害にも苦しんでいる。被害者支援の取組みをさらに推し進めるために条例を制定すべき。
(答弁)環境生活部長 支援を一層図るため、取組指針に基づき、相談窓口の強化や県民の方々の理解促進に努める。あわせて条例制定を含め、支援施策の充実について検討する。

(2)犯罪加害者家族への対応

(質問)かまたさとる 加害者家族に対しては、取材攻勢、バッシング、学校でのいじめ、日常生活の破壊、一家離散、自ら命を断つ人も珍しくないことまで、被害者側と加害者家族は立場は反対だが、抱える困難は驚くほど類似している。しかし、加害者本人以上に厳しい苦難を強いられるその家族をサポートする制度はないし、その重要性もほとんど理解されていない。そこで、加害者家族の相談窓口を設置すべきである。
(答弁)環境生活部長 県では加害者家族の方々に対する専用の窓口を設置していないが、ご相談があれば「熊本県人権センター」で対応する
定時制・通信制教育の振興について
(質問)かまたさとる  定通併修生とは、定時制の学習と通信制の学習を並行して履修する「定通併修」を選択している生徒であり、通常、定時制課程の生徒は、卒業まで4年だが、4年生で学ぶ内容を、通信制の学校で単位を修得することにより、3年生で卒業を認められる。ただ、授業料を実質無償とする高等学校等就学支援金は一つの教育課程のみが対象なので、定時制課程の分を支援金の対象とする場合、通信制課程の単位取得については自己負担をしなければならない。この自己負担分を免除することができないか。
(答弁)教育長 定通併修は、生徒1人あたり年間平均2,800円が本人負担。引き続き、国に対して支援を要望するとともに、県独自の負担軽減の取組みも、その必要性を含め検討する。