県政ニュース83号2022年春

県政ニュース83号2022年春を発行いたしました。

県議会での一般質問

アサリ産地偽装問題について
(質問)かまたさとる 県の統計資料「熊本県の水産」で漁獲量と取扱量に大きな差が明らかになっていたのに、それが見過ごされていた。県行政の信頼が損なわれた一連の対応について第三者も交えての検証を行い再発防止策を講じるべき。1970年代後半からコンクリート材料として川底の砂や干潟に堆積する砂が減少して生育環境の悪化で80年代から漁獲量が減少している。気候変動により頻発する大雨によって大量のヘドロが流れ込んだり、大型公共工事や事業所排水、農薬などの影響でアサリの生育環境が変化している。アサリの漁場回復にも力を入れていくべき。
(答弁)知事  県内の生産量を大きく上回る市場での流通実態に気づかず、偽装の可能性について踏み込んだ対応ができなかったことは反省しなければならない。アサリ資源の回復は漁業者の取組みの推進と、県も履砂事業に取り組むなど継続的な支援を行っている。今後とも、漁業者をはじめ関係機関と力を合わせて迅速かつ着実に取り組みを進める。
新型コロナウィルス感染症対策について

(1)無料P C R検査の継続

(質問)かまたさとる 現在、感染に不安がある無症状の県民を対象に無料P C R検査が実施されている。感染拡大の防止のためには、早期発見、早期隔離が必要。無料P C R検査の継続実施を求める。
(答弁)知事 全国的な検査キット不足に伴い、まずはクラスターが多く確認されている高齢者施設や小学校・保育所の従事者など、より優先度が高い方への検査に重点化を図りたい。そのうえで、無料P C R検査の継続については、検査キットの供給や感染状況等を踏まえて検討する。

(2)コロナウィルス感染症の後遺症対策

(質問)かまたさとる コロナ完治後の後遺症について、周囲の理解とサポートが受けられる啓発も含めた環境整備が必要。他都道府県では後遺症の専用相談ダイヤルを設けて相談を受け付けているが、熊本県も後遺症相談の専用窓口を設けるべき。
(答弁)知事 後遺症の理解が深まるようにホームページで最新の知見や関係情報を発信するなど啓発に取り組む。後遺症を含めた新型コロナに関する相談は専用相談窓口で一元的に受け付ける。

(3)生活困窮学生支援

(質問)かまたさとる まん延防止特別措置で飲食店が時短営業してバイトのシフトがなくなって収入を失った学生が多く出ている。県独自で取り組んだ生活困窮学生向けの給付金交付事業を再開すべき。
(答弁)知事 県内大学と連絡を密に取り合い学生の経済状況の把握に努めている。引き続き、学生の状況を的確に把握し必要な対応を行う。
空港アクセス鉄道について
(質問)かまたさとる アクセス鉄道の需要予測の前提条件である将来の旅客数は、熊本空港の運営会社が掲げる「2051年度はコロナ禍前の2019年度実績の約2倍の622万人」という想定に基づいている。この過大と指摘せざるを得ない2051年度見込みの622万人という旅客数について見直した上で調査検討を行うべき。
(答弁)知事 2051年度に航空旅客数を622万人とする目標値は熊本国際空港株式会社が専門的知見に基づき算出したもの。現在、コロナの影響で航空旅客は大幅に減少しているが、この目標値は今から30年後の長期的なもの。この目標の実現に向けて取り組んでいく。
球磨川水系河川整備計画の策定について

(1)住民及び知事の意見聴取について

(質問)かまたさとる 河川整備計画策定過程において、住民の意見聴取にあたって、住民とは被災者だけを指すのか、流域の住民全体を対象と考えるのか。知事が国に意見を述べる際に、関係者の意見を聞くのか。
(答弁)知事 意見は被災された方々に限らず、広く流域住民の皆様から伺いたいと考えている。知事として意見を述べる際には、流域市町村長の意見を伺うとともに住民の皆様からいただく意見も考慮する。

(2)山の保水力回復について

(質問)かまたさとる 治水政策として山の保水力回復が重要だが、それを流域治水の一環として考え、河川整備計画の中に盛り込むべき。
(答弁)知事 河川整備計画には、森林・林業の関係者との連携強化を盛り込む。

(3)流水型ダムの呼称について

(質問)かまたさとる 「流水型ダム」はゲートを設置して貯水も行う構造のダムなので、流水型ダムという呼称はふさわしくないのではないか。以前の川辺川ダムと同じ場所で、ほぼ同規模のダムなのに、なぜ川辺川ダムとは言わないか。何か印象操作的に感じる。
(答弁)知事 一般にゲートの有無に関わらず、平常時に水を貯めないダムは「流水型ダム」と呼ばれている。このダムは平常時に水を貯留する「川辺川ダム」とは、目的・構造・運用面において異なるものと捉えている。
自伐型林業の支援について
(質問)かまたさとる 環境保全と生業づくりを両立させる小さな林業の「自伐型林業」は、比較的規模の大きな面積の森林を一度に伐採する「皆伐施業」とは対照的に、間伐を約10年間隔で繰り返す長伐期多間伐施業。木がある状態が維持されるので、土砂災害を抑える効果が認められている。自伐型林業が参入しやすい環境づくり、実践的指導の支援、補助金など、自伐型林業の推進に向けた支援を。
(答弁)農林水産部長 これまで新規参入者の意向に応じて、地域の林業関係者に受け入れられるよう市町村、林業事業者及び森林所有者との橋渡しを行っている。新規参入者へ林業経営の改善及び林業技術の向上を目指し組織された林業研究グループへの加入を推進しており、実践的な指導の場にふさわしい。補助金については、自伐型林業者等の小規模林業であっても森林組合等と同様に既存制度での補助対象者となっており、補助内容も同じ。自伐型林業は、高齢化や過疎化等により林業の担い手不足が深刻化する中で、地域のきめ細かな森林の管理に資するものであり、引き続き支援を行う。
女性の社会参画推進と県職員の労働環境改善について
(質問)かまたさとる 県庁の本庁知事部局における課長以上の管理職の女性の割合は12.6%と低い。県職員の男性の育児休業の取得率は3.9%で全国最低。仕事量と人員のバランスが全く取れていない状態で、女性職員の管理職登用や男性の育児休業取得は難しい。男女共同参画の県庁組織とするために職場環境の改善を図るべき。
(答弁)知事 職員のワーク・ライフ・バランスを実現できる職場づくりに取り組むとともに、女性の社会参画の推進を図って参る。
孤独・孤立対策について
(質問)かまたさとる 社会全体のつながりが希薄化している中で、新型コロナウイルス感染症拡大により、人との接触機会が制約されたことで、「孤独・孤立」が問題となっている。対策の強化を。
(答弁)健康福祉部長 生活困窮者やひきこもりの方、ヤングケアラーの相談支援体制を充実するなど、孤独・孤立の予防につながる施策を更に強化する。孤独・孤立対策は不登校児童生徒への支援や、雇用・就労の促進、住宅確保の支援など幅広い分野が関係することから、庁内関係部局との連携を更に強化し、全庁的に取り組みを進める。
労働者協同組合の支援について
(質問)かまたさとる 働く人が自ら出資し、運営に携わる「協同労働」という新しい働き方を実現する労働者協同組合法が本年10月に施行される。県として、新しい働き方であるこの「労働者協同組合」をどのように推進していくのか。
(答弁)知事 市町村や関係団体への説明会を行うとともに、国と連携して県民へ広く周知し、制度の活用に向け取り組む。
教員不足対策について
(質問)かまたさとる 熊本県内においては、昨年5月1日時点で135人が不足。教員不足の要因は、育児休業の取得、病気による休職、特別支援学級の増加などがあげられているが、そもそも過酷な労働環境により教員のなり手が減少していることにあると考えられる。県内の不足教員の対策状況、教員の労働環境の改善などの教員不足解消に向けた取り組みについて尋ねる。また、他府県では、定年退職前に、介護や育児を理由に離職した教員を一般の志願者が受ける試験を免除して再雇用する制度を設けている教育委員会があるが、熊本でも試験の負担が軽くなるような再雇用の制度ができないか。
(答弁)教育長 大学訪問による説明会の実施をはじめ様々な方法で教員確保に取り組んでいる。当面の対応として退職者への働きかけを行い来年度の再任用教職員は小中学校で80人の増加になる。部活動指導員の拡充など「働き方改革推進プラン」の取り組みも加速化する。提案の離職教員再雇用制度は現在の特別選考の要件緩和を検討する。
ヤングケアラー支援について
(質問)かまたさとる 昨年秋に実施した実態調査の結果を踏まえて、具体的にどのような支援を行うのか。
(答弁)健康福祉部長 いつでも気軽に相談できる相談窓口の設置とともに当事者同士が悩みや経験を共有するサロンの開催など寄り添った支援を行う。学校を通じて子どもたちの認知度向上につとめ、市町村や教育機関等と連携し、関係者の理解促進や対応力の向上を図る。