県政ニュース85号2023年新春

県政ニュース85号2023年新春を発行いたしました。

新しい年を健やかにお迎えのこととお慶び申し上げます。
さて、新型コロナウィルス感染症も第8波となり引き続き感染予防に万全を尽くさなければなりません。私は、引き続き県民の健康や命を守るために、県に対して無料検査の継続、療養・医療体制の強化などを求めていきます。その他、県政には熊本地震や豪雨災害からの復興、台湾の半導体企業TSMCの菊陽町への進出、空港アクセス鉄道、流水型ダムなど重要な課題が山積しています。本年も山積する県政の重要課題に県民目線で対応していくため引き続き生活者の代弁者として活動を進めていきますので更なるご指導とご支援をよろしくお願い申し上げます。
昨年の12月議会で任期中最後になる一般質問に立ちましたので、その要旨を報告します。
空港アクセス鉄道について
(質問)かまたさとる 知事は、空港アクセス鉄道は豊肥本線の肥後大津駅からの延伸で進めるという方針を示したが、空港アクセス鉄道は400億円を超える巨額の事業費を要する。その事業費を負担する県民が、その必要性を痛感して納得性が得られるような事業でなければならないが、需要予測の見通しも甘いし、どれだけの県民がこの鉄道を利用するのかということも冷静に考えるべき。赤字が長引けば、その負担は県民が負い続けることになる。他の交通手段と比較してもアクセス鉄道が有益であるという説明責任を果たすべき。
(答弁)知事  空港アクセス検討委員会で「鉄道」「モノレール」「市電」「BRT」について、「定時制」「速達性」「大量輸送性」「早期実現性」の観点から総合的に検証。その結果、「鉄道」が最も効果的かつ、より早期に実現できる可能性が高いとの結論。この結論は、それぞれの交通システムの特性等を総合的に比較した結果であり、3ルートのいずれであっても鉄道の優位性は変わらない。アクセス鉄道を将来にわたり持続可能な鉄道路線とするため、JR九州との協議を進めるとともに、国に対し財政支援などの特別な配慮を要望して参る。
流水型ダムの環境アセスメントの進め方について
(質問)かまたさとる 環境アセスは、事業の環境への影響を予測して十分な環境保全対策を実施するために、配慮書、方法書、準備書、評価書の4段階の手続きを行う。現在の方法書段階で公表された方法レポートにはダムの概要イメージ図として電信柱のようなものが記載してあるだけで、流水型ダムのトンネルの長さや構造、付属設備の概要、副ダムの構造や段差の高さなど記載されていない。設備等の構造図等が示されなくては、環境や生物に与える影響について、どんな調査がどのくらいの期間必要なのか調査項目や方法を検討することはできない。
また、方法レポートに関して流域内での説明会が主な自治体7か所で開催されたが、八代市の説明会会場は、旧泉村であり、流域の芦北町でも開催されていない。国交省の見解は、他のダムの事例も踏まえて、ダム建設によって球磨川流域で影響が出るのは球磨村渡地区までとのこと。川はつながって流れているのでダムの影響は、渡地区にとどまらずその下流の芦北町や八代市街地や海まで及ぶはず。
知事は方法レポートのやり直しを国交省に求め県民に対し十分な説明と意見募集を行うべき。
(答弁)知事  国は、ダムの設計や運用等の検討に当たっては、検討の進捗に応じ、改善を試みながら深化させていく旨、表明している。このように、環境アセスメントの手続きと並行して、具体的なダムの構造や環境への配慮内容等が明らかになり、説明されていくものと認識している。法では、説明会について、縦覧期間内に、対象事業に係る「環境影響を受ける範囲であると認められる地域内」において開催しなければならないと規定。その「地域」に関する国の見解は、法に基づくアセスメントを行ったほかのダムも参考に、「ダム集水域の3倍程度の流域面積に相当する地域まで」として、今回は、「ダムの集水域を含む川辺川流域及び川辺川合流点から球磨村渡地点までの球磨川の自治体としている」と伺っている。
県としても、準備を進めている事業の方向性や進捗を確認する仕組みの中で、流水型ダムについて、流域市町村や流域住民の皆様と一体となって、しっかりと確認して参る。
里親やファミリーホームの支援について
(質問)かまたさとる 現在全国で家族と暮らせない子どもは約45,000人で、そのうち熊本県は約640人。そのほとんどが乳児院や児童養護施設で暮らしているが15.6%の100人が里親家庭やファミリーホームで暮らしている。
ファミリーホームとは、家庭で暮らせない子どもたち5〜6名を養育者の家庭に迎え入れて養育する「家庭養育」として設置されているもので、熊本県では平成23年から開設されていて、現在県内に8ホームある。
里親の場合は、さまざまな機会において、里親とその委託児童の関係性を明らかにしなければならない場面があり、自治体によっては、独自に作成した携帯用の証明書の発行を行っている自治体があるが、熊本県ではまだ導入されていない。
また、国は、令和3年度より児童養護施設等体制強化事業の中に、ファミリーホームの業務負担軽減策として、通常、措置費の対象は、養育者2人と補助者1人の経費が想定されているが、更に追加の補助者が配置できるようになっている。
熊本県において、里親やファミリーホームに対してどのような支援を行っていくのか。
(答弁)健康福祉部長 県では、社会的養育推進計画において、里親委託率の目標を設置し、様々な取組みを進めている。具体的には、フォスタリング機関を2カ所開設し、児童相談所等との連携を強化し、里親やファミリーホームへの支援を継続的に行っている。里親の携帯用証明書は具体的な準備を進めており、ファミリーホームの補助者の雇い上げの支援は検討に着手した。
児童相談所について

(1)第3者評価について

(質問)かまたさとる かまたさとる 県の中央児童相談所において、虐待を疑われる兄弟が一時保護された後、1人がコロナに感染したことが判明して、翌日には虐待があったとされる親の元に返している。私は、この対応は非常に問題であると考えている。虐待から子どもを守る立場の児童相談所としてこの対応は適正だったのか。この対応についての評価をはじめ第三者評価を実施することによって、業務の質の確保・向上に努めなければならない。
(答弁)健康福祉部長 児童相談所の第三者評価は、子どもの権利擁護機関として機能しているのかを確認するために有効な手段と考えている。そこで、今年度、中央児童相談所の第三者評価を実施することとしている。第三者評価をとおして、課題の把握や改善に努め児童相談所がしっかり機能するよう質の向上を図って参る。

(2)子どもアドボカシーについて

(質問)かまたさとる 虐待を受けている子ども本人から本心を聞き取ることは容易ではない。子どもの意見を聞いて、児童相談所等にその意見を代弁する支援員が必要。県として子どもの意見に耳を傾け、その権利を守る「子どもアドボカシー」について、どのように取り組んでいかれるのか。
(答弁)健康福祉部長 県では、令和6年度の改正児童福祉法施行に先立ち、今年度から子どもの意見表明に関するモデル事業に取り組んでいる。具体的には、意見表明支援員の養成講座を実施するとともに、児童福祉施設や一時保護所の子どもへの意見聴取の取組みを開始したところ。今後は、モデル事業の検証を行いながら、子どもの最善の利益を目指した仕組みづくりを進めて参る。
夜間中学について
(質問)かまたさとる
・来年4月開校予定の夜間中学の設置場所である湧心館高校には全日制に加えて定時制・通信制課程がある。施設利用など湧心館高校の教育活動に支障がない教育課程となるように施設設備等も準備を。また安易に、湧心館高校と兼務で管理職や教職員の配置をしないように対応を。
・入学対象者は「熊本県在住の15歳以上で、義務教育を終了していない方や卒業しても不登校等の理由で十分に学ぶことができなかった方」とされているが、中学1年から3年までの学齢の不登校生徒を受け入れることはできないか。
・1学年の人数は20人程度とされているが、夜間中学は、年齢や国籍がさまざまな生徒が同じ教室で学ぶことになり、多様な生徒を教えるには教員の負担も大きく20人をさらに分割できないか。
(答弁)教育長
・夜間中学の施設利用については、新設する校舎で、授業の大部分を行う予定。その上で、理科や体育などの一部の授業は、湧心館高校の施設を使用することとなるが、定時制の教育活動に支障が生じないよう調整する。管理職や教職員の配置については、教育効果が高まるよう先進校の事例を参考にしながら、個別の支援を行う学習支援員の配置やボランティアの活用も含めて検討する。
・学齢期の不登校生徒の受け入れについては、学校、市町村教育委員会の意見及び先進的な取組みを行っている他県の情報を収集し、夜間中学の受入れ対象者について研究を深める。
・1学年の人数を20人程度としたのは、すでに設置されている夜間中学の定員や入学者数の状況を踏まえて設定した。実際の授業においては、学習内容に応じて個別指導やグループに分けた指導を取り入れるなど、効果的な学びの体制づくりに取り組んでいく。
時給引上げ事業者支援について
(質問)かまたさとる 熊本県の最低賃金は32円引き上げられ時給853円になった。
一方で最賃の引き上げは中小企業の経営に大きな影響を与えるので、厚生労働省は賃金引き上げと設備投資などを行った企業に対して、「業務改善助成金」を拡充するなどの支援を強化している。しかし、それだけでは物価高・資材高騰などによって厳しい経営環境におかれている中小企業にとって不十分なので、県が上乗せ支援すべき。
(答弁)商工労働部長 業務改善助成金への県独自の上乗せは財源確保等の課題により、現時点では実施予定はないが、今回の国の経済対策では、事業再構築・生産性向上等を一体的に行う賃金の引上げへの支援を大幅に拡充する。県では、国の施策の動向を注視しながら、商工団体との連携を密にし、厳しい経営環境におかれた中小企業者、小規模事業者の方々をしっかりと支えて参る。