県政ニュース87号2023秋

県政ニュース87号2023年秋を発行いたしました。

県議会での代表質問

TSMCに関する諸課題について

(1)県内地場中小企業への支援

(質問)かまたさとる  T S M Cや関連企業への人材流出が顕著になり、既存の県内中小企業の人材確保が困難な状況になってきている。最低賃金は10月8日には45円上がって898円となり、賃上げを実行するための基礎体力が十分ではないところも多く、この厳しい状況下で、労働環境の改善や賃上げを行う県内中小企業に対しての県としての支援策を講じるべき。
(答弁)知事  国や県の補助事業を活用して生産性向上や賃上げを実施する中小企業者に補助事業の自己負担を軽減する予算を今定例会に提案している。

(2)地下水涵養について

(質問)かまたさとる  T S M Cは地下水を1日約8千500トン採取し、その採取量を超える地下水を涵養する考えを表明しているが、T S M C をはじめ企業進出が増えて、涵養をする水田を確保するのは困難ではないのか。
(答弁)知事 白川中流域におけるかん養期間の拡大や冬期湛水の実施、自川中流域以外での水田湛水の拡充など、農業者の方々と連携し、具体策の検討を進めている。
農地以外においても、雨水浸透ますや雨庭、浸透性の調整池の設置など、地下水のかん養量を確保していく。

(3)排水対策について

(質問)かまたさとる 工場排水は、工場で浄化された上で、菊陽町の下水道を通り熊本市北区にある熊本北部浄化センターまで流されてくる。そこから、坪井川に流されるが、排水による汚染の検査は完全にできるか。
北部浄化センターで浄化処理を行なっているが、その際の汚染濃度の環境検査の数値を公表すべき。万が一センターで有害物質が発見された場合、その流入水を止めることは可能なのか。
下水道法に基づく有害物質の調査は28品目となっているが、県としてより多くの化学物質のモニタリング調査を行うべき。
(答弁)知事 工場排水に含まれる下水道法における対象物質は、関係法令に則って公表することは可能。これらの物質については、あらかじめ、公共下水道管理者の菊陽町が下水道法に基づき基準に適合していることを事前に確認している。
熊本北部浄化センターでは、これまでも問合せに応じ、検査結果を提供している。今後は、更に積極的な公表の方法を検討する。
また、有害物質が発見された場合については、各段階において県、菊陽町、企業が連携し、迅速かつ確実に対応する。
下水道法の対象外の化学物質については、県では熊本北部浄化センターの放流水も環境モニタリングの対象としている。モニタリングでは、規制外の18種類の金属類や有機フッ素化合物250種、そして1万種を超えるその他の化学物質等について、新たな工場が稼働する前後で変化がないか、客観的かつ科学的に環境の変化を把握していく。
「くまもと再発見の旅」不適切受給について
(質問)かまたさとる  T K Uヒューマンの調査を見逃すように指示した上司は知事ではないか。
タクシー券未使用分の160万円について、公金が含まれているので県は返還を求めるべき。この事業はそもそも、事業開始時点での制度設計がわかりづらく、どうにでも解釈されるような曖昧な部分があったのではないか。
県の内部調査だけではなく、第三者による調査をすると名言したが、第三者については、当事者や利害関係人との関係を一切排除した弁護士や学識経験者らを選任して、公正と透明性が担保された調査を行うべき。
(答弁)知事 幹部が見逃しを指示したとの疑いについては、県として第三者委員会の設置も含めて調査するが、私が見逃しを指示したということは一切ない。
タクシー券未使用分については、その適法性を調査する。
「くまもと再発見の旅」は短期間で制度設計を行い、事業を実施したことから、関係者間の連携不足や誤認等が重なったものだと思っている。
第三者の調査委員会については、外部の弁護士で構成する予定で、現在人選を急いでいる。今後、丁寧かつ迅速に調査を行う。
フリースクールとの連携と支援について
(質問)かまたさとる フリースクールやフリースクールに通う子どもたちへの経済的支援と、県とフリースクールなどの民間団体とが定期的に協議を行う場を設置すべき。
(答弁)知事 個々に様態の異なるフリースクールなどに対して、不登校児童生徒の十分な学びの保障と社会的自立の支援のためにどのような連携が可能か、子どもの居場所づくりの観点も含め、市町村とも研究を進める。
県教育委員会と知事部局の関係各課が連携して、フリースクール等の民間団体と、適宜、意見交換を行うことにより、全ての不登校児童生徒の学びの場の確保、居場所づくりに向けてしっかりと取り組む。
ケアリーバーへの支援について
(質問)かまたさとる 児童養護施設や里親などの社会的養護のケアから離れた「ケアリーバー」が施設等を退所した後、頼れる人がいなくなり孤立をしていないか、経済的に困窮していないか、必要な支援策を検討するための実態調査を行なうべき。
(答弁)健康福祉部長 今年度中に、ケアリーバーへのアンケート調査やヒアリングなどを実施し、調査結果を取りまとめ、その後の支援につなげていく。
ヘルメット着用率向上の取り組み
(質問)かまたさとる 本年4月、自転車利用者のヘルメット着用が努力義務となった。ヘルメットを購入するには経済的な負担が伴うので全国の複数の自治体では購入補助金制度を設けているところがある。県としてヘルメット着用を促す具体的取り組みを進めるべき。
(答弁)環境生活部長 ヘルメット購入の補助制度は、今後、努力義務化による着用率の変化や、既に当該制度を導入している他県等における効果等を見極めていく必要がある。
今後とも、警察や教育委員会、市町村、関係団体等と連携し、ヘルメット着用を促す取組みを着実に進める。
A Y A(思春期・若年成人)世代がん患者の支援
(質問)かまたさとる 思春期・若年成人世代をA Y A(Adolescent and Young Adult)世代といい、広くは15歳から39歳までを指す。
現在、40歳未満のがん患者は介護保険のサービスは利用できずに日常生活で必要な経費でも自己負担となっている。そのため、全国では静岡など12県で負担軽減のための補助制度を設けている。本県でもA Y A世代のがん患者の在宅療養支援の補助制度を設けるべき。
(答弁)健康福祉部長 AYA世代のがん患者が抱える介護費用の負担という全国的な課題には、国において一律に支援体制を整備すべきと考えており、これまでも支援制度の創設について、国へ要望してきた。今後も、国に対して支援制度の創設等を様々な機会を捉えて粘り強く働きかけるとともに、次期がん対策推進計画の策定過程における議論等を踏まえ、AYA世代のがん患者が安心して療養生活を送れるよう、更なる取組みを進める。

県政ニュース86号2023夏

連日厳しい暑さが続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。

4月に行われた県議会議員選挙におきまして7期目の当選を果たすことができました。今回の県議選の特徴点は新しい政党が議席を得たこと、女性の議員が1名から5名に増えたことです。私の所属する会派「立憲民主連合」は4名の議員で構成していますが、うち2名が女性議員で男女比率50%になり、私が選挙戦で訴えてきました「県民一人ひとりの多様性を認め合う県政を」進めていくにふさわしい会派構成になりました。引き続き、生活者目線の県政の推進に全力を傾注していきますのでご指導をよろしくお願い申し上げます。

さて、改選後初の定例県議会となりました6月定例県議会は、6月6日から26日までの会期で95億8300万円を増額する一般会計予算案を含む計24議案を可決、承認しました。補正予算案には、物価高で困窮する高齢者施設や保育施設、公共交通事業者に対する支援事業費、L Pガス利用世帯への助成費などが盛り込まれています。

私たち立憲民主連合からは、議員提案議案としてマイナカードのトラブルが相次ぐことから、国に対して、来年秋の健康保険証廃止を行わないよう県議会から声をあげていこうと「健康保険証の存続を求める意見書」を本会議に提案して提出者説明を行いましたが、自民・公明・維新と無所属議員の一部の反対により否決されました。多くの県民がマイナ保険証に一本化して健康保険証を廃止することに不安を覚えていて、医療機関、介護施設、自治体職員などが不安や負担を抱えている中での健康保険証廃止については一度立ち止まり、当初方針通りにマイナ保険証と紙の保険証の選択制か両方使える併用制で運用すべきです。意見書は否決されましたが、引き続き来年秋の健康保険証の廃止はやめるべきとの声を国に上げていきます。

6月議会では、私の一般質問はありませんでしたが、他議員の一般質問で示された県の考え方の主なものを紹介します。

○菊陽町への半導体メーカーTSMC進出に伴う交通渋滞対策として、付近で国が整備を進めている中九州道路に新たなインターチェンジ設置を目指す方針を表明。あわせてI Cと新工場一帯を結ぶ道路の新設を検討。

○T S M C進出を機に露呈している土地不足で農地が失われる対策として、新たな土地と借地を必要とする農家をマッチングする仕組みを作るプロジェクトチームを県庁に設置する。

○熊本市内2ヶ所の井戸で検出された有機フッ素化合物(P F A S)について、県内17ヶ所の地下水や河川で7月から調査をする。

また、私は今年度、高速交通ネットワーク整備推進特別委員会と厚生常任委員会に所属することになりました。厚生常任委員会では、コロナウィルスのワクチン接種による健康被害の県内の状況について質問し、国の審査会への申請が令和4年度で60件(死亡8件)ありまだ2件(死亡0)しか認定されていませんでしたので、ワクチン接種を国も県も奨励してきたわけですので万が一の時の救済はきちんとやるべきとの思いで、国に対して健康被害認定作業のスピードアップを求めるよう要望しました。

次の9月議会では会派を代表しての代表質問を行う予定です。これからも生活者の皆様の声をお伺いして「ブレずに直球」を投げ続けていきますので、引き続きのご指導をよろしくお願い申し上げます。

県政ニュース85号2023年新春

県政ニュース85号2023年新春を発行いたしました。

新しい年を健やかにお迎えのこととお慶び申し上げます。
さて、新型コロナウィルス感染症も第8波となり引き続き感染予防に万全を尽くさなければなりません。私は、引き続き県民の健康や命を守るために、県に対して無料検査の継続、療養・医療体制の強化などを求めていきます。その他、県政には熊本地震や豪雨災害からの復興、台湾の半導体企業TSMCの菊陽町への進出、空港アクセス鉄道、流水型ダムなど重要な課題が山積しています。本年も山積する県政の重要課題に県民目線で対応していくため引き続き生活者の代弁者として活動を進めていきますので更なるご指導とご支援をよろしくお願い申し上げます。
昨年の12月議会で任期中最後になる一般質問に立ちましたので、その要旨を報告します。
空港アクセス鉄道について
(質問)かまたさとる 知事は、空港アクセス鉄道は豊肥本線の肥後大津駅からの延伸で進めるという方針を示したが、空港アクセス鉄道は400億円を超える巨額の事業費を要する。その事業費を負担する県民が、その必要性を痛感して納得性が得られるような事業でなければならないが、需要予測の見通しも甘いし、どれだけの県民がこの鉄道を利用するのかということも冷静に考えるべき。赤字が長引けば、その負担は県民が負い続けることになる。他の交通手段と比較してもアクセス鉄道が有益であるという説明責任を果たすべき。
(答弁)知事  空港アクセス検討委員会で「鉄道」「モノレール」「市電」「BRT」について、「定時制」「速達性」「大量輸送性」「早期実現性」の観点から総合的に検証。その結果、「鉄道」が最も効果的かつ、より早期に実現できる可能性が高いとの結論。この結論は、それぞれの交通システムの特性等を総合的に比較した結果であり、3ルートのいずれであっても鉄道の優位性は変わらない。アクセス鉄道を将来にわたり持続可能な鉄道路線とするため、JR九州との協議を進めるとともに、国に対し財政支援などの特別な配慮を要望して参る。
流水型ダムの環境アセスメントの進め方について
(質問)かまたさとる 環境アセスは、事業の環境への影響を予測して十分な環境保全対策を実施するために、配慮書、方法書、準備書、評価書の4段階の手続きを行う。現在の方法書段階で公表された方法レポートにはダムの概要イメージ図として電信柱のようなものが記載してあるだけで、流水型ダムのトンネルの長さや構造、付属設備の概要、副ダムの構造や段差の高さなど記載されていない。設備等の構造図等が示されなくては、環境や生物に与える影響について、どんな調査がどのくらいの期間必要なのか調査項目や方法を検討することはできない。
また、方法レポートに関して流域内での説明会が主な自治体7か所で開催されたが、八代市の説明会会場は、旧泉村であり、流域の芦北町でも開催されていない。国交省の見解は、他のダムの事例も踏まえて、ダム建設によって球磨川流域で影響が出るのは球磨村渡地区までとのこと。川はつながって流れているのでダムの影響は、渡地区にとどまらずその下流の芦北町や八代市街地や海まで及ぶはず。
知事は方法レポートのやり直しを国交省に求め県民に対し十分な説明と意見募集を行うべき。
(答弁)知事  国は、ダムの設計や運用等の検討に当たっては、検討の進捗に応じ、改善を試みながら深化させていく旨、表明している。このように、環境アセスメントの手続きと並行して、具体的なダムの構造や環境への配慮内容等が明らかになり、説明されていくものと認識している。法では、説明会について、縦覧期間内に、対象事業に係る「環境影響を受ける範囲であると認められる地域内」において開催しなければならないと規定。その「地域」に関する国の見解は、法に基づくアセスメントを行ったほかのダムも参考に、「ダム集水域の3倍程度の流域面積に相当する地域まで」として、今回は、「ダムの集水域を含む川辺川流域及び川辺川合流点から球磨村渡地点までの球磨川の自治体としている」と伺っている。
県としても、準備を進めている事業の方向性や進捗を確認する仕組みの中で、流水型ダムについて、流域市町村や流域住民の皆様と一体となって、しっかりと確認して参る。
里親やファミリーホームの支援について
(質問)かまたさとる 現在全国で家族と暮らせない子どもは約45,000人で、そのうち熊本県は約640人。そのほとんどが乳児院や児童養護施設で暮らしているが15.6%の100人が里親家庭やファミリーホームで暮らしている。
ファミリーホームとは、家庭で暮らせない子どもたち5〜6名を養育者の家庭に迎え入れて養育する「家庭養育」として設置されているもので、熊本県では平成23年から開設されていて、現在県内に8ホームある。
里親の場合は、さまざまな機会において、里親とその委託児童の関係性を明らかにしなければならない場面があり、自治体によっては、独自に作成した携帯用の証明書の発行を行っている自治体があるが、熊本県ではまだ導入されていない。
また、国は、令和3年度より児童養護施設等体制強化事業の中に、ファミリーホームの業務負担軽減策として、通常、措置費の対象は、養育者2人と補助者1人の経費が想定されているが、更に追加の補助者が配置できるようになっている。
熊本県において、里親やファミリーホームに対してどのような支援を行っていくのか。
(答弁)健康福祉部長 県では、社会的養育推進計画において、里親委託率の目標を設置し、様々な取組みを進めている。具体的には、フォスタリング機関を2カ所開設し、児童相談所等との連携を強化し、里親やファミリーホームへの支援を継続的に行っている。里親の携帯用証明書は具体的な準備を進めており、ファミリーホームの補助者の雇い上げの支援は検討に着手した。
児童相談所について

(1)第3者評価について

(質問)かまたさとる かまたさとる 県の中央児童相談所において、虐待を疑われる兄弟が一時保護された後、1人がコロナに感染したことが判明して、翌日には虐待があったとされる親の元に返している。私は、この対応は非常に問題であると考えている。虐待から子どもを守る立場の児童相談所としてこの対応は適正だったのか。この対応についての評価をはじめ第三者評価を実施することによって、業務の質の確保・向上に努めなければならない。
(答弁)健康福祉部長 児童相談所の第三者評価は、子どもの権利擁護機関として機能しているのかを確認するために有効な手段と考えている。そこで、今年度、中央児童相談所の第三者評価を実施することとしている。第三者評価をとおして、課題の把握や改善に努め児童相談所がしっかり機能するよう質の向上を図って参る。

(2)子どもアドボカシーについて

(質問)かまたさとる 虐待を受けている子ども本人から本心を聞き取ることは容易ではない。子どもの意見を聞いて、児童相談所等にその意見を代弁する支援員が必要。県として子どもの意見に耳を傾け、その権利を守る「子どもアドボカシー」について、どのように取り組んでいかれるのか。
(答弁)健康福祉部長 県では、令和6年度の改正児童福祉法施行に先立ち、今年度から子どもの意見表明に関するモデル事業に取り組んでいる。具体的には、意見表明支援員の養成講座を実施するとともに、児童福祉施設や一時保護所の子どもへの意見聴取の取組みを開始したところ。今後は、モデル事業の検証を行いながら、子どもの最善の利益を目指した仕組みづくりを進めて参る。
夜間中学について
(質問)かまたさとる
・来年4月開校予定の夜間中学の設置場所である湧心館高校には全日制に加えて定時制・通信制課程がある。施設利用など湧心館高校の教育活動に支障がない教育課程となるように施設設備等も準備を。また安易に、湧心館高校と兼務で管理職や教職員の配置をしないように対応を。
・入学対象者は「熊本県在住の15歳以上で、義務教育を終了していない方や卒業しても不登校等の理由で十分に学ぶことができなかった方」とされているが、中学1年から3年までの学齢の不登校生徒を受け入れることはできないか。
・1学年の人数は20人程度とされているが、夜間中学は、年齢や国籍がさまざまな生徒が同じ教室で学ぶことになり、多様な生徒を教えるには教員の負担も大きく20人をさらに分割できないか。
(答弁)教育長
・夜間中学の施設利用については、新設する校舎で、授業の大部分を行う予定。その上で、理科や体育などの一部の授業は、湧心館高校の施設を使用することとなるが、定時制の教育活動に支障が生じないよう調整する。管理職や教職員の配置については、教育効果が高まるよう先進校の事例を参考にしながら、個別の支援を行う学習支援員の配置やボランティアの活用も含めて検討する。
・学齢期の不登校生徒の受け入れについては、学校、市町村教育委員会の意見及び先進的な取組みを行っている他県の情報を収集し、夜間中学の受入れ対象者について研究を深める。
・1学年の人数を20人程度としたのは、すでに設置されている夜間中学の定員や入学者数の状況を踏まえて設定した。実際の授業においては、学習内容に応じて個別指導やグループに分けた指導を取り入れるなど、効果的な学びの体制づくりに取り組んでいく。
時給引上げ事業者支援について
(質問)かまたさとる 熊本県の最低賃金は32円引き上げられ時給853円になった。
一方で最賃の引き上げは中小企業の経営に大きな影響を与えるので、厚生労働省は賃金引き上げと設備投資などを行った企業に対して、「業務改善助成金」を拡充するなどの支援を強化している。しかし、それだけでは物価高・資材高騰などによって厳しい経営環境におかれている中小企業にとって不十分なので、県が上乗せ支援すべき。
(答弁)商工労働部長 業務改善助成金への県独自の上乗せは財源確保等の課題により、現時点では実施予定はないが、今回の国の経済対策では、事業再構築・生産性向上等を一体的に行う賃金の引上げへの支援を大幅に拡充する。県では、国の施策の動向を注視しながら、商工団体との連携を密にし、厳しい経営環境におかれた中小企業者、小規模事業者の方々をしっかりと支えて参る。

県政ニュース84号2022年秋

県政ニュース84号2022年秋を発行いたしました。

県民目線でしっかりと議論を

初秋の候、皆様には健やかにお過ごしのこととお喜び申し上げます。

さて、9月9日から10月5日まで9月定例県議会が開催されました。新型コロナウイルス対策の強化、八代海の赤潮被害にあった養殖業者支援策、災害復旧費用など総額112億円を追加補正する一般会計補正予算などの議案を可決承認しました。

9月定例県議会では、新型コロナウィルス対策をはじめ、2020年7月の豪雨災害を受けて8月に県と国土交通省が球磨川支流の川辺川に整備する流水型ダムを治水対策とする河川整備計画を策定したことについて、私たち立憲民主連合は、市民団体の検証では豪雨の犠牲者は支流の氾濫であり、ダムを造って球磨川の水位を下げても対策にならないので、流域住民や問題提起をしている市民団体と共同検証を行った上で、河川整備計画を策定するべきと求めましたが、知事は、学識経験者や流域市町村の首長の意見を踏まえて計画を策定したので、検証する考えはないと否定しました。線状降水帯の発生など雨の降り方が変化している中で、一つの地点だけで増水を一時的に抑えるダムでの治水はその効果に疑問を抱かざるを得ません。多額の税金がつぎ込まれる事業ですので、ダムありきではない効果的な治水対策を講じるべきです。

また、J R豊肥本線からの延伸で空港までのアクセスを改善しようと県が計画している空港アクセス鉄道について、半導体受託製造の世界大手のT S M Cの菊陽町進出を受けて、県がこれまで検討を進めてきた三里木駅からの分岐に加えて原水駅、肥後大津駅からの分岐ルートも検討を進めてきましたが、その検討試算で、肥後大津ルートが費用対効果が高かったことが明らかになりました。まだ方針決定はされていませんが、知事は議会の答弁で、肥後大津駅からのルート案について「将来の発展性を感じる」と述べて、現時点では肥後大津案を有力視する考えを示しました。

この問題は、私が所属する高速交通ネットワーク整備推進特別委員会でも議論になり、私からは、○TSMCや関連企業で働く人の豊肥本線乗車は増えることは想定されるが、空港を頻繁に利用することは考えづらい○現在肥後大津駅から空港まで県が乗車費用を負担している無料タクシーの空港ライナーの1日あたりの利用者は200名に満たない。TSMCができたからといって肥後大津駅から空港まで1日あたり4900人が利用するとはとても考えられない。○需要予測のベースになっている30年後の航空利用者数の622万人(これまでの熊本空港航空利用者の最高人数の倍)が過大すぎるので見直すべき○肥後大津駅から車で15分で空港に行けるのだからバスでもいいのではないか○いずれのルートも税金を400億円以上も支出する事業なので、進めるのであれば多くの県民がその必要性を納得するように、より妥当性がある予測数値を基にした説明が必要だと申し述べました。

その他にも県政の課題は色々ありますが、引き続き皆様のご意見も賜りながら県民目線での議論をしていきますので、よろしくお願い申し上げます。

県政ニュース83号2022年春

県政ニュース83号2022年春を発行いたしました。

県議会での一般質問

アサリ産地偽装問題について
(質問)かまたさとる 県の統計資料「熊本県の水産」で漁獲量と取扱量に大きな差が明らかになっていたのに、それが見過ごされていた。県行政の信頼が損なわれた一連の対応について第三者も交えての検証を行い再発防止策を講じるべき。1970年代後半からコンクリート材料として川底の砂や干潟に堆積する砂が減少して生育環境の悪化で80年代から漁獲量が減少している。気候変動により頻発する大雨によって大量のヘドロが流れ込んだり、大型公共工事や事業所排水、農薬などの影響でアサリの生育環境が変化している。アサリの漁場回復にも力を入れていくべき。
(答弁)知事  県内の生産量を大きく上回る市場での流通実態に気づかず、偽装の可能性について踏み込んだ対応ができなかったことは反省しなければならない。アサリ資源の回復は漁業者の取組みの推進と、県も履砂事業に取り組むなど継続的な支援を行っている。今後とも、漁業者をはじめ関係機関と力を合わせて迅速かつ着実に取り組みを進める。
新型コロナウィルス感染症対策について

(1)無料P C R検査の継続

(質問)かまたさとる 現在、感染に不安がある無症状の県民を対象に無料P C R検査が実施されている。感染拡大の防止のためには、早期発見、早期隔離が必要。無料P C R検査の継続実施を求める。

(答弁)知事 全国的な検査キット不足に伴い、まずはクラスターが多く確認されている高齢者施設や小学校・保育所の従事者など、より優先度が高い方への検査に重点化を図りたい。そのうえで、無料P C R検査の継続については、検査キットの供給や感染状況等を踏まえて検討する。

(2)コロナウィルス感染症の後遺症対策

(質問)かまたさとる コロナ完治後の後遺症について、周囲の理解とサポートが受けられる啓発も含めた環境整備が必要。他都道府県では後遺症の専用相談ダイヤルを設けて相談を受け付けているが、熊本県も後遺症相談の専用窓口を設けるべき。
(答弁)知事 後遺症の理解が深まるようにホームページで最新の知見や関係情報を発信するなど啓発に取り組む。後遺症を含めた新型コロナに関する相談は専用相談窓口で一元的に受け付ける。

(3)生活困窮学生支援

(質問)かまたさとる まん延防止特別措置で飲食店が時短営業してバイトのシフトがなくなって収入を失った学生が多く出ている。県独自で取り組んだ生活困窮学生向けの給付金交付事業を再開すべき。
(答弁)知事 県内大学と連絡を密に取り合い学生の経済状況の把握に努めている。引き続き、学生の状況を的確に把握し必要な対応を行う。
空港アクセス鉄道について
(質問)かまたさとる アクセス鉄道の需要予測の前提条件である将来の旅客数は、熊本空港の運営会社が掲げる「2051年度はコロナ禍前の2019年度実績の約2倍の622万人」という想定に基づいている。この過大と指摘せざるを得ない2051年度見込みの622万人という旅客数について見直した上で調査検討を行うべき。
(答弁)知事 2051年度に航空旅客数を622万人とする目標値は熊本国際空港株式会社が専門的知見に基づき算出したもの。現在、コロナの影響で航空旅客は大幅に減少しているが、この目標値は今から30年後の長期的なもの。この目標の実現に向けて取り組んでいく。
球磨川水系河川整備計画の策定について

(1)住民及び知事の意見聴取について

(質問)かまたさとる 河川整備計画策定過程において、住民の意見聴取にあたって、住民とは被災者だけを指すのか、流域の住民全体を対象と考えるのか。知事が国に意見を述べる際に、関係者の意見を聞くのか。
(答弁)知事 意見は被災された方々に限らず、広く流域住民の皆様から伺いたいと考えている。知事として意見を述べる際には、流域市町村長の意見を伺うとともに住民の皆様からいただく意見も考慮する。

(2)山の保水力回復について

(質問)かまたさとる 治水政策として山の保水力回復が重要だが、それを流域治水の一環として考え、河川整備計画の中に盛り込むべき。
(答弁)知事 河川整備計画には、森林・林業の関係者との連携強化を盛り込む。

(3)流水型ダムの呼称について

(質問)かまたさとる 「流水型ダム」はゲートを設置して貯水も行う構造のダムなので、流水型ダムという呼称はふさわしくないのではないか。以前の川辺川ダムと同じ場所で、ほぼ同規模のダムなのに、なぜ川辺川ダムとは言わないか。何か印象操作的に感じる。
(答弁)知事 一般にゲートの有無に関わらず、平常時に水を貯めないダムは「流水型ダム」と呼ばれている。このダムは平常時に水を貯留する「川辺川ダム」とは、目的・構造・運用面において異なるものと捉えている。
自伐型林業の支援について
(質問)かまたさとる 環境保全と生業づくりを両立させる小さな林業の「自伐型林業」は、比較的規模の大きな面積の森林を一度に伐採する「皆伐施業」とは対照的に、間伐を約10年間隔で繰り返す長伐期多間伐施業。木がある状態が維持されるので、土砂災害を抑える効果が認められている。自伐型林業が参入しやすい環境づくり、実践的指導の支援、補助金など、自伐型林業の推進に向けた支援を。
(答弁)農林水産部長 これまで新規参入者の意向に応じて、地域の林業関係者に受け入れられるよう市町村、林業事業者及び森林所有者との橋渡しを行っている。新規参入者へ林業経営の改善及び林業技術の向上を目指し組織された林業研究グループへの加入を推進しており、実践的な指導の場にふさわしい。補助金については、自伐型林業者等の小規模林業であっても森林組合等と同様に既存制度での補助対象者となっており、補助内容も同じ。自伐型林業は、高齢化や過疎化等により林業の担い手不足が深刻化する中で、地域のきめ細かな森林の管理に資するものであり、引き続き支援を行う。
女性の社会参画推進と県職員の労働環境改善について
(質問)かまたさとる 県庁の本庁知事部局における課長以上の管理職の女性の割合は12.6%と低い。県職員の男性の育児休業の取得率は3.9%で全国最低。仕事量と人員のバランスが全く取れていない状態で、女性職員の管理職登用や男性の育児休業取得は難しい。男女共同参画の県庁組織とするために職場環境の改善を図るべき。
(答弁)知事 職員のワーク・ライフ・バランスを実現できる職場づくりに取り組むとともに、女性の社会参画の推進を図って参る。
孤独・孤立対策について
(質問)かまたさとる 社会全体のつながりが希薄化している中で、新型コロナウイルス感染症拡大により、人との接触機会が制約されたことで、「孤独・孤立」が問題となっている。対策の強化を。
(答弁)健康福祉部長 生活困窮者やひきこもりの方、ヤングケアラーの相談支援体制を充実するなど、孤独・孤立の予防につながる施策を更に強化する。孤独・孤立対策は不登校児童生徒への支援や、雇用・就労の促進、住宅確保の支援など幅広い分野が関係することから、庁内関係部局との連携を更に強化し、全庁的に取り組みを進める。
労働者協同組合の支援について
(質問)かまたさとる 働く人が自ら出資し、運営に携わる「協同労働」という新しい働き方を実現する労働者協同組合法が本年10月に施行される。県として、新しい働き方であるこの「労働者協同組合」をどのように推進していくのか。
(答弁)知事 市町村や関係団体への説明会を行うとともに、国と連携して県民へ広く周知し、制度の活用に向け取り組む。
教員不足対策について
(質問)かまたさとる 熊本県内においては、昨年5月1日時点で135人が不足。教員不足の要因は、育児休業の取得、病気による休職、特別支援学級の増加などがあげられているが、そもそも過酷な労働環境により教員のなり手が減少していることにあると考えられる。県内の不足教員の対策状況、教員の労働環境の改善などの教員不足解消に向けた取り組みについて尋ねる。また、他府県では、定年退職前に、介護や育児を理由に離職した教員を一般の志願者が受ける試験を免除して再雇用する制度を設けている教育委員会があるが、熊本でも試験の負担が軽くなるような再雇用の制度ができないか。
(答弁)教育長 大学訪問による説明会の実施をはじめ様々な方法で教員確保に取り組んでいる。当面の対応として退職者への働きかけを行い来年度の再任用教職員は小中学校で80人の増加になる。部活動指導員の拡充など「働き方改革推進プラン」の取り組みも加速化する。提案の離職教員再雇用制度は現在の特別選考の要件緩和を検討する。
ヤングケアラー支援について
(質問)かまたさとる 昨年秋に実施した実態調査の結果を踏まえて、具体的にどのような支援を行うのか。
(答弁)健康福祉部長 いつでも気軽に相談できる相談窓口の設置とともに当事者同士が悩みや経験を共有するサロンの開催など寄り添った支援を行う。学校を通じて子どもたちの認知度向上につとめ、市町村や教育機関等と連携し、関係者の理解促進や対応力の向上を図る。