県政ニュース83号2022年春

県政ニュース83号2022年春を発行いたしました。

県議会での一般質問

アサリ産地偽装問題について
(質問)かまたさとる 県の統計資料「熊本県の水産」で漁獲量と取扱量に大きな差が明らかになっていたのに、それが見過ごされていた。県行政の信頼が損なわれた一連の対応について第三者も交えての検証を行い再発防止策を講じるべき。1970年代後半からコンクリート材料として川底の砂や干潟に堆積する砂が減少して生育環境の悪化で80年代から漁獲量が減少している。気候変動により頻発する大雨によって大量のヘドロが流れ込んだり、大型公共工事や事業所排水、農薬などの影響でアサリの生育環境が変化している。アサリの漁場回復にも力を入れていくべき。
(答弁)知事  県内の生産量を大きく上回る市場での流通実態に気づかず、偽装の可能性について踏み込んだ対応ができなかったことは反省しなければならない。アサリ資源の回復は漁業者の取組みの推進と、県も履砂事業に取り組むなど継続的な支援を行っている。今後とも、漁業者をはじめ関係機関と力を合わせて迅速かつ着実に取り組みを進める。
新型コロナウィルス感染症対策について

(1)無料P C R検査の継続

(質問)かまたさとる 現在、感染に不安がある無症状の県民を対象に無料P C R検査が実施されている。感染拡大の防止のためには、早期発見、早期隔離が必要。無料P C R検査の継続実施を求める。
(答弁)知事 全国的な検査キット不足に伴い、まずはクラスターが多く確認されている高齢者施設や小学校・保育所の従事者など、より優先度が高い方への検査に重点化を図りたい。そのうえで、無料P C R検査の継続については、検査キットの供給や感染状況等を踏まえて検討する。

(2)コロナウィルス感染症の後遺症対策

(質問)かまたさとる コロナ完治後の後遺症について、周囲の理解とサポートが受けられる啓発も含めた環境整備が必要。他都道府県では後遺症の専用相談ダイヤルを設けて相談を受け付けているが、熊本県も後遺症相談の専用窓口を設けるべき。
(答弁)知事 後遺症の理解が深まるようにホームページで最新の知見や関係情報を発信するなど啓発に取り組む。後遺症を含めた新型コロナに関する相談は専用相談窓口で一元的に受け付ける。

(3)生活困窮学生支援

(質問)かまたさとる まん延防止特別措置で飲食店が時短営業してバイトのシフトがなくなって収入を失った学生が多く出ている。県独自で取り組んだ生活困窮学生向けの給付金交付事業を再開すべき。
(答弁)知事 県内大学と連絡を密に取り合い学生の経済状況の把握に努めている。引き続き、学生の状況を的確に把握し必要な対応を行う。
空港アクセス鉄道について
(質問)かまたさとる アクセス鉄道の需要予測の前提条件である将来の旅客数は、熊本空港の運営会社が掲げる「2051年度はコロナ禍前の2019年度実績の約2倍の622万人」という想定に基づいている。この過大と指摘せざるを得ない2051年度見込みの622万人という旅客数について見直した上で調査検討を行うべき。
(答弁)知事 2051年度に航空旅客数を622万人とする目標値は熊本国際空港株式会社が専門的知見に基づき算出したもの。現在、コロナの影響で航空旅客は大幅に減少しているが、この目標値は今から30年後の長期的なもの。この目標の実現に向けて取り組んでいく。
球磨川水系河川整備計画の策定について

(1)住民及び知事の意見聴取について

(質問)かまたさとる 河川整備計画策定過程において、住民の意見聴取にあたって、住民とは被災者だけを指すのか、流域の住民全体を対象と考えるのか。知事が国に意見を述べる際に、関係者の意見を聞くのか。
(答弁)知事 意見は被災された方々に限らず、広く流域住民の皆様から伺いたいと考えている。知事として意見を述べる際には、流域市町村長の意見を伺うとともに住民の皆様からいただく意見も考慮する。

(2)山の保水力回復について

(質問)かまたさとる 治水政策として山の保水力回復が重要だが、それを流域治水の一環として考え、河川整備計画の中に盛り込むべき。
(答弁)知事 河川整備計画には、森林・林業の関係者との連携強化を盛り込む。

(3)流水型ダムの呼称について

(質問)かまたさとる 「流水型ダム」はゲートを設置して貯水も行う構造のダムなので、流水型ダムという呼称はふさわしくないのではないか。以前の川辺川ダムと同じ場所で、ほぼ同規模のダムなのに、なぜ川辺川ダムとは言わないか。何か印象操作的に感じる。
(答弁)知事 一般にゲートの有無に関わらず、平常時に水を貯めないダムは「流水型ダム」と呼ばれている。このダムは平常時に水を貯留する「川辺川ダム」とは、目的・構造・運用面において異なるものと捉えている。
自伐型林業の支援について
(質問)かまたさとる 環境保全と生業づくりを両立させる小さな林業の「自伐型林業」は、比較的規模の大きな面積の森林を一度に伐採する「皆伐施業」とは対照的に、間伐を約10年間隔で繰り返す長伐期多間伐施業。木がある状態が維持されるので、土砂災害を抑える効果が認められている。自伐型林業が参入しやすい環境づくり、実践的指導の支援、補助金など、自伐型林業の推進に向けた支援を。
(答弁)農林水産部長 これまで新規参入者の意向に応じて、地域の林業関係者に受け入れられるよう市町村、林業事業者及び森林所有者との橋渡しを行っている。新規参入者へ林業経営の改善及び林業技術の向上を目指し組織された林業研究グループへの加入を推進しており、実践的な指導の場にふさわしい。補助金については、自伐型林業者等の小規模林業であっても森林組合等と同様に既存制度での補助対象者となっており、補助内容も同じ。自伐型林業は、高齢化や過疎化等により林業の担い手不足が深刻化する中で、地域のきめ細かな森林の管理に資するものであり、引き続き支援を行う。
女性の社会参画推進と県職員の労働環境改善について
(質問)かまたさとる 県庁の本庁知事部局における課長以上の管理職の女性の割合は12.6%と低い。県職員の男性の育児休業の取得率は3.9%で全国最低。仕事量と人員のバランスが全く取れていない状態で、女性職員の管理職登用や男性の育児休業取得は難しい。男女共同参画の県庁組織とするために職場環境の改善を図るべき。
(答弁)知事 職員のワーク・ライフ・バランスを実現できる職場づくりに取り組むとともに、女性の社会参画の推進を図って参る。
孤独・孤立対策について
(質問)かまたさとる 社会全体のつながりが希薄化している中で、新型コロナウイルス感染症拡大により、人との接触機会が制約されたことで、「孤独・孤立」が問題となっている。対策の強化を。
(答弁)健康福祉部長 生活困窮者やひきこもりの方、ヤングケアラーの相談支援体制を充実するなど、孤独・孤立の予防につながる施策を更に強化する。孤独・孤立対策は不登校児童生徒への支援や、雇用・就労の促進、住宅確保の支援など幅広い分野が関係することから、庁内関係部局との連携を更に強化し、全庁的に取り組みを進める。
労働者協同組合の支援について
(質問)かまたさとる 働く人が自ら出資し、運営に携わる「協同労働」という新しい働き方を実現する労働者協同組合法が本年10月に施行される。県として、新しい働き方であるこの「労働者協同組合」をどのように推進していくのか。
(答弁)知事 市町村や関係団体への説明会を行うとともに、国と連携して県民へ広く周知し、制度の活用に向け取り組む。
教員不足対策について
(質問)かまたさとる 熊本県内においては、昨年5月1日時点で135人が不足。教員不足の要因は、育児休業の取得、病気による休職、特別支援学級の増加などがあげられているが、そもそも過酷な労働環境により教員のなり手が減少していることにあると考えられる。県内の不足教員の対策状況、教員の労働環境の改善などの教員不足解消に向けた取り組みについて尋ねる。また、他府県では、定年退職前に、介護や育児を理由に離職した教員を一般の志願者が受ける試験を免除して再雇用する制度を設けている教育委員会があるが、熊本でも試験の負担が軽くなるような再雇用の制度ができないか。
(答弁)教育長 大学訪問による説明会の実施をはじめ様々な方法で教員確保に取り組んでいる。当面の対応として退職者への働きかけを行い来年度の再任用教職員は小中学校で80人の増加になる。部活動指導員の拡充など「働き方改革推進プラン」の取り組みも加速化する。提案の離職教員再雇用制度は現在の特別選考の要件緩和を検討する。
ヤングケアラー支援について
(質問)かまたさとる 昨年秋に実施した実態調査の結果を踏まえて、具体的にどのような支援を行うのか。
(答弁)健康福祉部長 いつでも気軽に相談できる相談窓口の設置とともに当事者同士が悩みや経験を共有するサロンの開催など寄り添った支援を行う。学校を通じて子どもたちの認知度向上につとめ、市町村や教育機関等と連携し、関係者の理解促進や対応力の向上を図る。

県政ニュース81号2021年夏

県議会報告

県政ニュース81号2021年夏を発行いたしました。

熊本地震から5年経過後の諸問題について

(1)災害公営住宅で生活する被災者の孤立化対策について

(質問)かまたさとる 熊本地震の発生から5年が経過。東日本大震災では5年目以降に孤独死が増えた。災害公営住宅で生活する被災者がどのような生活環境、どのような健康状態にあるのか、把握して支援していくべき。
(答弁)健康福祉部長  県では訪問調査等を実施し、生活再建上の課題が生じていないか把握している。また、心のケアなどに関する調査を毎年実施し、かつ、民生委員やボランティア等といった民間事業者の協力を通じて支援が必要な方を把握している。加えて、地域福祉活動のリーダーとなる人材の育成に取り組み、コミュニティーの形成を支援しているが、今後も体制の構築に努めていく。

(2)福祉避難所について

(質問)かまたさとる 災害時に特別な配慮が必要な高齢者や障害者、妊婦、乳幼児、などのために設置される福祉避難所の機能強化について県の取り組みは。
(答弁)健康福祉部長  福祉避難所について、平常時からの取組を体系的に示した福祉避難所運営マニュアルを平成29年8月に作成し、市町村の取組を支援した。また、熊本県災害派遣福祉チームを設置し、運営体制を強化するとともに、福祉避難所の制度周知等も行っており、今後も福祉避難所の機能強化を進めていく。

(3)ペット同行避難について

(質問)かまたさとる 災害時のペット同行避難は被災者全体の問題として考えるべき。環境省のガイドライン、チェックリストを参考にして「熊本県の同行避難ガイドライン」を策定すべき。また、災害時の同行避難支援を行うために、平常時から民間団体と連携し、人材の育成も行うべき。
(答弁)健康福祉部長  ガイドラインに関しては県で作成している手引きの見直しの中で検討する。また、熊本地震以降、毎年、保健所職員等を対象として民間団体から専門の講師等を招いた研修会の開催や国主催の研修会への参加などにより災害時にペットの同行避難に対応できる人材の育成を行なっており、今後は、更に研修の対象をボランティア団体や市町村職員等に広げる。

(4)避難所以外の避難者への対応について

(質問)かまたさとる 熊本地震では多くの県民が車中泊を経験。災害時における車中泊や自宅避難などの避難所以外の避難者を把握するための県の取組みは。
(答弁)知事公室長  昨年4月に車中泊等の避難場所以外避難に関する今後の取組の方向性と具体的取組例をまとめた。また、地域防災計画にも避難所外避難者への対応を位置づけ、市町村における取組を後押ししている。引き続き、避難所外避難者への支援が確実に行えるよう取り組んでいく。
新型コロナウイルス対策について

(1)コロナ宿泊療養施設の担当職員のワクチン接種について

(質問)かまたさとる コロナ感染者の宿泊療養施設の担当をしている県職員に早急にワクチン接種を行い、感染リスクが少しでも軽減される状況で業務に従事できるようにすべき。
(答弁)健康福祉部長  施設の非感染エリアで連絡調整を担当する県職員など、感染リスクの比較的高い職員等については、一般接種の段階で、新たに立ち上げる県民広域接種センターの活用も含め早期の接種を検討する。

(2)東京オリンピック・パラリンピックの警備に派遣される警察官のワクチン接種について

(質問)かまたさとる 東京オリ・パラに警備に行く警察官が、東京に日帰りでワクチン接種にいっているが、緊急事態宣言地域の東京に行くことは感染リスクもあるし、その交通費を考えた場合、県内の市町村の優先接種枠を活用して対応すべき。なぜ緊急事態宣言地域である東京にワクチン接種に行かなければならないのか、接種のための交通費はどこが負担するのか。
(答弁)県警本部長  派遣する警察官の一部については、東京都で実施されている警察官等へのワクチン接種の対象に含まれていて、現在、接種を受けている。これらの警察官については、東京都公安委員会の援助の要求に基づき派遣され、期間中、東京都での警戒警備に従事することなどを踏まえ、接種対象者に加わることとなったもの。今回の上京の旅費は国が負担する。

(3)東京2020オリンピック・パラリンピックのライブサイトについて

(質問)かまたさとる パブリックビューイングを含むライブサイトを熊本城ホールで開催することが企画されているが、コロナ禍において人流抑制が求められている中で、自宅のテレビで十分に観戦できるオリ・パラをわざわざ人を集めて観戦する必要はない。
(答弁)知事 東京オリパラについては私から小池都知事に対して、東北3県に加えて、熊本県についても復興五輪に位置付けてもらい、熊本地震からの復興を是非応援してほしいと要望していてそのことが熊本でのライブサイトの開催となった。県内の感染状況を注視しながら県民の安全・安心の視点に立って対応する。
空港アクセス鉄道について
(質問)かまたさとる 空港アクセス鉄道については事業費が多額であり、コロナ禍で空港利用者が激減をしている現状の中で、急ぎ結論を出す必要は全くない。
熊本県新広域交通計画での熊本市中心部と空港を約20分でつなぐ「熊本空港連絡道路」が新規路線として追加されている。この道路が整備されれば、短時間で熊本市中心部から空港までをバスで結ぶことができる。その道路を利用したバスとの比較検討も行うべき。
鉄道の方が大量輸送性で優位であるのならば、乗り換えなしの豊肥線からの直接乗り入れにしなければダメだ。これからの検討材料に、直接乗り入れを行う場合の事業費、空港に向かう車両と大津方面に向かう車両に分ける連結切り離し方式の事業費も算定した上で、比較検討を行うべき。
(答弁)知事 需要予測は1日当たり5,000人となり、国、県、JRがそれぞれ総事業費の3分の1を負担した場合、採算性を見込むことができた。また、B/Cは1を上回っている。次に、高規格道路の整備に当たっては、鉄道との関係に十分配慮した上で、相乗効果が発揮されるよう検討を進めてまいる。鉄道の利便性については、平成31年2月のJR九州との同意において、空港アクセス鉄道は豊肥本線への乗り入れをしないこととしている。他の交通モードとの比較だけでなく、利便性向上の方策についても空港アクセス検討委員会で議論を深めながら引き続き検討していく。
ヤングケアラー支援について
(質問)かまたさとる ヤングケアラーとは、慢性的な病気や障害、精神的な問題などを持つ家族の介護や世話をしている子どものこと。本県でもヤングケアラーの実態調査をすべき。そして、ヤングケアラーへの支援について学校と福祉部門、民間支援団体との連携を図って取り組むべき。
(答弁)知事 国の実態調査をベースとして本県の状況を具体的に把握し、支援策につなげるため対象者数を拡充し、調査項目を追加して、秋頃までに実態調査を行いたい。ヤングケアラーは早期に発見し適切な支援につなげて行くことが何よりも重要。そのため、県の実態調査を踏まえつつ、福祉や教育などの関係部局での認識向上、学校現場などにおける早期発見、子どもたちが相談しやすい体制の充実、市町村をはじめとする関係機関との連携体制の構築など、より具体的な支援策の検討を行なう。
生活福祉資金の特例貸付の審査等について
(質問)かまたさとる 熊本県社会福祉協議会は、新型コロナウィルスの影響で収入が減った生活困窮世帯を対象に無利子で生活資金を貸し付ける「生活福祉資金」の特例貸付を、昨年3月下旬に受け付けを開始した。緊急小口資金、総合支援資金の審査で不承認とする場合の申請者への理由の開示と、その方々への寄り添った支援について尋ねる。
(答弁)健康福祉部長 生活福祉資金の審査手続は全国一律の取扱いであり、個々の理由は開示しない。また、そのことについて全ての申請者から事前に同意を取ることとされている。県では県社会福祉協議会における審査、運用は適切であると考えているが、この特例貸付が適切に運用されるよう、引き続き、県社協へ必要な指導などを行うとともに、自立に向けた支援に取り組む。
骨髄移植のドナー登録とワクチン再接種費用の助成について
(質問)かまたさとる 現在、県内では、宇土市、美里町、八代市がドナー登録者への助成をしているが、県からの補助は無い。県としてもドナー登録者への助成について取り組んでいただきたい。また、骨髄移植などを受けると、一度接種したワクチンの効果が失われる場合が多く、感染症予防には再接種が必要。免疫が消失、低下した子供などを対象に県として再接種への助成を行うことができないか。
(答弁)健康福祉部長 県としては骨髄移植の施策については、全国統一的な実施が望ましいと考えており、国に支援策を要望するとともに国や他の自治体の動向を注視しながら、必要な施策について検討していくとともに普及啓発に努めて参る。ワクチン再接種費用の助成については、先行で実施している自治体や県内市町村の実情を踏まえ、助成の必要性も含めて検討していく。

県政ニュース76号2020年春

県政ニュース76号2020年春を発行いたしました。

知事選の関係で例年より早めに開会された2月議会で一般質問に立ちましたので、以下にその要旨を掲載いたします。

新型コロナウィルス対策について(要望)

(1)各保健所と検査業務を行う保健環境科学研究所の体制拡充。対応にあたる職員のストレスや感染リスクについての十分な配慮。
(2)海外からの旅行客への検疫体制強化と手洗い、咳エチケットの励行の徹底。
(3)誤解やデマによる差別や偏見や感染者の人権に最大限配慮した対応。
(4)影響を受ける県内の中小企業への支援。等について要望する。

空港アクセス鉄道の事業費と収支見通しについて
(質問)かまたさとるJR三里木駅から熊本空港までの鉄道整備で380億円とされている事業費の負担は、JR九州が3分の1を上限に負担するとの同意内容になっているが、それは増益効果の一部を支出するとなっている。私は利益を生み出せるのか非常に懸念をしている。赤字ならばJR九州の運用益は少額にとどまり、JR九州からの整備費負担はほとんど期待できない。そうなれば、整備費のほとんどを県民が負担することになってしまい、運行経費の赤字分の穴埋めも県民が負担することになる。
詳細調査によってアクセス鉄道の事業費、ルートを含めた運行方法はどのようになったのか。アクセス鉄道の収支の見通しは。
(答弁)知事 具体的なルートや事業費、採算性などの詳細調査を年度末を期限に独立行政法人鉄道・運輸機構に委託している。その調査結果を精査した上で、速やかに県議会の場で報告する。収支見通しについては、実現可能性の高い目標の622万人の航空旅行者数と中間駅を予定している県民運動公園や免許センター利用者を含めると十分需要は見込まれる。
(質問)かまたさとる これだけの多額の事業費を要する事業であるので、知事選挙までには詳細な事業費等を示すべき。
(答弁)知事 年度末は3月31日。その後、県議会の場で説明する。それと同時に県民に知れ渡る。
気候変動対策について
(質問)かまたさとる 気候非常事態宣言をするべき。
(答弁)知事 気候非常事態宣言は地球温暖化に関して住民と危機意識を共有し気候変動を緩和する政策を進めるものだが、同じ考えから2050年までのCO2排出ゼロ宣言を行った。
FCV(燃料電池自動車)普及の取り組みについて
(質問)かまたさとる 熊本県はFCVの普及に向けて、2015年に熊本県燃料電池自動車普及促進計画を策定し、地方都市圏のトップランナーを目指すと宣言しているが、その成果が見えない。県議会の玄関の横の水素ステーションは平成28年に1億6千万円で整備されて年間の維持費が約300万円ほどかかっているが、県庁の水素ステーションは民間の方は利用できない。県内に燃料供給できるステーションがないので、民間所有のFCV車はゼロ。県庁の水素ステーションを民間の方も利用できるようにすべき。
(答弁)商工観光労働部長 県庁の簡易型水素ステーションは実証用のもの。そのため水素の製造量等に限りがあることや管理運用上の規制があることなどから民間利用は制限している。
フリースクールとの連携について
(質問)かまたさとる  フリースクールへの財政措置をすべき。
(答弁)教育長 新年度から国の事業を活用し市町村に対する教育支援センターの設置支援、教育センター及びフリースクール等へ通う経済的支援が必要な子どもたちに対する通学費等の援助に係る経費を新規予算として計上している。
県内バス事業者の共同経営への県の支援
(質問)かまたさとる  県内バス会社5社が共同経営を行うことを表明した。県内のバス事業の収支はいずれも赤字で運営費総額の約90億円のうち約30億円を補助金で補っている。公的支援抜きでは県内の公共交通網の維持は困難。地方バス路線を守るために県が支援すべき。
(答弁)企画振興部長 県として速やかな共同経営への移行のため事業者と一緒になって計画の策定や関係機関との調整に取り組む。
運転免許証のお試し返納
(質問)かまたさとる  京都府警が高齢のドライバーが運転免許を持たない生活を一カ月送る「お試し返納」に取り組んでいるが、高齢者の免許証返納への心理的な抵抗や不安を緩和するためにお試し期間を設けることは有益だと考える。本県でも実施できないか。
(答弁)警察本部長 京都府警も取り組みを始めたばかりなので、その取り組み注視しつつ引き続き自治体等と連携し自主返納を促進する取り組みを進める。

県政ニュース74号2019年秋

熊本県議会報告

県政ニュース74号2019年秋を発行いたしました。

熊本地震の被災者に寄り添った支援について

(1)熊本地震の被災者に寄り添った支援について

(質問)かまたさとる 仮設住宅入居期限延長の適用について、仮設退去後に民間賃貸住宅入居を希望する世帯を対象外にした。希望物件が見つからない世帯もあるので柔軟に対応すべき。
(答弁)知事  民間賃貸住宅を希望される方に対しては、住まいの再建相談員が希望に沿う物件を一緒に探している。今後とも被災者一人一人の実情や意向を踏まえ、一日も早い恒久的な住まいの再建に向け取り組む。

(2)被災者への支援・見守りの継続について

(質問)かまたさとる 東日本大震災の被災地では、発生の3年後から「孤独死」が増加している。みなし仮設を退去した世帯で病気、障がい、要介護者がいる世帯の割合は42%で入居中の世帯では50%。見守りの継続と退去後の被災者の支援が必要だ。

(答弁)知事 引き続き、市町村等と連携し見守りや相談支援などに取り組む。

(3)災害公営住宅の家賃の補助について

(質問)かまたさとる 東日本大震災では世帯の総所得から控除額を引いた政令月収が8万円以下の低所得者を対象に国が家賃の補助をした。熊本でも実施すべき。

(答弁)知事 東日本大震災と同様の家賃低減措置を国に求めたが、法整備や増税を伴う措置を待つよりも、迅速に、被災者の痛みの最小化と地方負担の最小化を図ることが重要と判断。家賃減免制度の活用や既存の公営住宅の紹介等、入居者の経済状況に応じた支援を行うよう市町村に働きかけている。

熊本空港までのアクセス鉄道の整備について

(1)事業効果と県民への理解について

(質問)かまたさとる 熊本空港と豊肥本線三里木駅を鉄軌道でつなぐアクセス鉄道の検討は急ピッチで進められてきた。380億円という多額の事業費を要する事業なので事業効果について県民の理解を得て事業着手すべき。
(答弁)知事  空港利用者の定時性や速達性、バスの積み残し解消などの直接的な効果とインバウンド等の増加や交流人口の拡大や県経済活性化への起爆剤などの県全体への波及効果がある。引き続き、県議会、県民に丁寧に説明し早期整備への理解を得て参る。

(2)運転免許センター利用者の利便性確保について

(質問)かまたさとる 県民運動公園利用者のみならず運転免許センター利用者も利用しやすい鉄道とすべき。

(答弁)知事 運動公園周辺に設置する新駅の位置等は隣接する免許センター利用者の利便性も考慮し、慎重に検討を行う。

(3)空港までの直接乗り入れについて

(質問)かまたさとる 現在の検討案では肥後大津行を減便させないために三里木駅で乗り換えることになっているが、連結車両を肥後大津駅行きと空港行きに切り離し運行することで乗り換え不要にできないか。

(答弁)知事 肥後大津方面の利便性を損なわないことを大前提に乗入可能の有無を、技術的かつ経済的な視点から研究を行っている。

水俣病問題について
(質問)かまたさとる 水俣病被害者救済特別措置法が成立して10年。特措法の救済受付が締め切られたので、期限までに申請できなかった方や対象地域外の方、約1700人が訴訟を提起している。受付再開できないか。また特措法で実施するとされている沿岸住民の健康調査も未だに行われない、国に実施を強く求めるべき。
(答弁)知事  特措法による救済は、長年にわたる様々な関係者間の議論や合意の積み上げによるもので、再開は難しい。健康調査については国に調査手法開発の加速化を要望する。
ダム問題について

(1)球磨川のダムによらない治水の検討について

(質問)かまたさとる 川辺川ダム建設中止の判断から「ダムによらない治水」の検討をはじめて10年が経過しているが、実行されない。いつまでに結論をだして対策に着手するのか。
(答弁)知事  治水対策の検討と並行して、国・流域市町村との連携、協力のもと、現時点で可能なハード対策とソフト対策を両面から推進し、地域の防災対策向上に取り組む。

(2)瀬戸石ダムについて

(質問)かまたさとる 球磨川にある電源開発株式会社が管理・運営する瀬戸石ダムは堆積土砂による洪水被害の危険性が国から指摘されている。ダムの撤去、堆積土砂の撤去を求めるべき。

(答弁)知事 電源開発株式会社に対して、様々な機会を捉えて一日も早く治水面での安全性が確保できるよう求める。

(3)立野ダムについて

(質問)かまたさとる 立野ダム建設予定地は崩れやすい火山性の地質で近くには活動層が確認されている。熊本地震では建設予定地の土砂が崩落しており危険だ。建設を中止すべき。総事業費917億円は変化ないのか。

(答弁)知事 国は、「立野ダム建設に係る技術委員会」を設置して、ダム建設は技術的に可能との結論を出した。県としても新たな検証を行う必要はないと考える。総事業費はこれまでのところ見直しに関する話はない。

日韓関係について
(質問)かまたさとる 日韓関係の悪化により韓国からの観光客が減少して県経済に深刻な影響を与えている。関係改善に向けて政府への働きかけと航空路線の運航再開に向けて取り組みを。
(答弁)知事  国家間の関係が厳しい時こそ、自治体や民間レベルの交流を継続し、相互理解を深めていくことが重要。早期の航空路線の運航再開や誘客に向けては引き続き粘り強く働きかけていく。
踏み間違い防止装置購入費用の助成について
(質問)かまたさとる 東京都や福井県では高齢ドライバーの踏み間違い防止装置購入費用を助成している。熊本県でも事故減少に向けて実施すべき。
(答弁)知事  踏み間違い防止装置は事故防止の有効な手段の一つであると認識。導入費用の助成を含む支援策の検討を加速させる。
犯罪被害者支援条例について
(質問)かまたさとる すでに18道府県で策定している犯罪被害者支援条例を本県も制定すべき。
(答弁)知事  外部有識者会議の議論をもとに条例制定を判断する。
LGBT問題について

(1)パートナーシップ制度の導入について

(質問)かまたさとる 同性カップルの婚姻関係に相当するものとして「パートナーシップ制度」を導入すべき。
(答弁)知事  パートナーシップ制度導入に伴う課題等について、住民サービスの担い手である市町村との意見交換を行う。

(2)制服の選択について

(質問)かまたさとる 男子はスラックス、女子はスカートと固定化せずに性別に関わらず自由に選択できるようにすべき。

(答弁)教育長 性別に関わらずスラックスを選択できる県立高校もある。今後も、性的マイノリティとされる児童生徒の気持ちや実情に配慮しながら、各学校や専門機関とも連携して、制服を含めたきめ細やかな対応に努める。

スクールロイヤーの導入について
(質問)かまたさとる いじめや保護者とのトラブル等、学校での問題の法的解決のために弁護士が学校側の代理人ではなく第三者的立場で助言するスクールロイヤーを導入すべき。
(答弁)教育長  導入を検討する。
地域気候変動適応センターの設置について
(質問)かまたさとる 気候変動による影響への適応策を推進する県の地域気候変動適応センターを設置すべき。
(答弁)環境生活部長  来年度中の設置を目指す。

県政ニュース71号2019年 新春

昨年12月議会で一般質問に立ちました。痛みを抱えている県民に対して県として取るべき対応について求めてまいりました。以下にその要旨を報告します。

障がい者雇用水増し問題について
(質問)かまたさとる この問題は、中央省庁は処分なし。障がい者や民間企業を裏切る行為を長年行ってきて処分なしというのは理解に苦しむ。地方自治体では、数県で知事や副知事、関係職員の処分を行う。本県も処分を行い責任の所在をはっきりさせて二度とやらないという決意を示すべき。
(答弁)知事 本県においても障がい者の雇用が、適切に算定されていないことが判明し、大変申し訳なく思っている。関係職員の処分については本県では懲戒処分の指針を定めているのでそれに沿って、適切に判断する。
水俣病公害認定50年を迎えて

(1)沿岸住民の健康調査について

(質問)かまたさとる 水俣病被害者救済は、1974年施行の公健法や1995年の政治決着、2009年の特措法など、「つぎはぎ」だらけで、いまだにすべての被害者救済につながっていない。被害がどれだけの範囲におよんでいるのかその実態を掴み、必要な救済策を講じるべき。その前提となる沿岸住民の健康調査を国はやる気があるのか、そして、具体的に国は調査手法の何を開発しているのか、その開発が進まない要因は何なのか、いつ頃の実施を予定しているのか。
(答弁)知事  国では、現在、調査手法の開発に向けて「有効な診断方法の開発」「患者の経年的変化等の把握」「水銀へのばく露の量と症状等への関係の解明」等の課題について基礎的見地を得るための研究が行われている。県としては、調査手法の開発が進むよう関係者への協力要請や調整など、今後とも可能な限りの対応を行う。

(2)認定審議業務について

(質問)かまたさとる 水俣病の認定審査は2015年から現在まで、918名の申請者を審査して認定件数はたったの4名。認定審査業務は、県による疫学調査と神経内科,眼科,耳鼻咽喉科の医学的調査が実施されて認定審査会の審査の上,知事による認定又は棄却の処分が行われる。その第一段階である疫学調査は県職員が聞き取るものだが、その対応について、申請者の立場に立たない、丁寧さに欠ける疫学調査が行われているのではないかという問題点が指摘されている。「知事の任期中に認定審査を完了する」とのマニフェストの公約を実現するために、棄却や取り下げを進めている、との指摘を受けないように、認定審査業務は丁寧に進めるべきだ。
(答弁)知事 今後も、申請者の状況に十分配慮しながら迅速かつ丁寧に認定審査を進める。

(3)水銀フリー社会の実現に向けて

(質問)かまたさとる 「国内外の水銀フリー社会の実現に向けて貢献する」ことが熊本県の率先取組みの基本原則となっているが、県が管理する庁舎や施設、道路などの蛍光灯や水銀灯はまだ、LEDに切り替えられていないし、学校や警察などの施設の水銀灯の設置状況が把握できていない。
水銀製品の使用削減や代替製品への転換促進を訴える熊本県がいつまでも水銀製品を使用すべきではない。設置の状況をどう把握して今後どうしていくのか。
(答弁)環境生活部長知事部局では平成22年度から計画的にLED照明への交換を行っている。県管理道路については、平成27年度に水銀灯などの設置状況調査を実施し、順次交換を行っている。教育委員会、警察本部については、今後更に転換を進めていくために既存の照明器具の調査を行う。
熊本地震被災者の医療費窓口負担の免除について
(質問)かまたさとる 仮設住宅やみなし仮設住宅に入居を継続している世帯は、自力での生活再建をすることができない高齢の世帯が多数で、生活が苦しいうえに、健康状態でも、もともと持病を抱え、震災と長引く避難生活によって持病が悪化している方々や、震災をきっかけに病気を発症した方々、社会生活を営む中で介護や何らかのサポートを必要とする方々。この現状をふまえ、被災された低所得者と仮設住宅入居者に対象を限定して医療費窓口負担の免除ができないか。
(答弁)知事 市町村に意向がないことから、県の財政支援を復活することは難しい。
生活困窮者自立支援事業の拡充・強化と体制整備について
(質問)かまたさとる 10月から生活困窮者自立支援法が改正され、基本理念や都道府県の役割が明確化されるとともに、自立相談支援事業や就労支援事業、家計改善支援事業の一体的実施を促進するなど、生活困窮者に対する包括的な支援体制が強化されることになった。本県においても改正に合わせて支援体制を強化すべき。
(答弁)健康福祉部長 各地域で相談支援員や福祉事務所等の関係者が参加する「支援調整会議」を活用し、生活困窮者の方を確実に相談につなげ、包括的で早期支援に努めていく。市町村への支援は、全ての市町村に相談窓口を設置してそこに配置している相談支援等の研修は県が主催して行っている。今後も生活に困窮している方々の自立に向けた支援体制の充実、強化に努める。
犯罪被害者等支援と加害者家族への対応について

(1)犯罪被害者等支援条例の制定について

(質問)かまたさとる 犯罪等の被害にあった方の多くは、犯罪そのものによる直接的被害だけでなく、それに伴い生じる、精神的なショック、再び被害にあうのではないかといった不安、捜査・公判への対応に係る精神的・時間的負担、周囲の目や誤解に基づく中傷、過剰な報道といった、いわゆる二次的被害にも苦しんでいる。被害者支援の取組みをさらに推し進めるために条例を制定すべき。
(答弁)環境生活部長 支援を一層図るため、取組指針に基づき、相談窓口の強化や県民の方々の理解促進に努める。あわせて条例制定を含め、支援施策の充実について検討する。

(2)犯罪加害者家族への対応

(質問)かまたさとる 加害者家族に対しては、取材攻勢、バッシング、学校でのいじめ、日常生活の破壊、一家離散、自ら命を断つ人も珍しくないことまで、被害者側と加害者家族は立場は反対だが、抱える困難は驚くほど類似している。しかし、加害者本人以上に厳しい苦難を強いられるその家族をサポートする制度はないし、その重要性もほとんど理解されていない。そこで、加害者家族の相談窓口を設置すべきである。
(答弁)環境生活部長 県では加害者家族の方々に対する専用の窓口を設置していないが、ご相談があれば「熊本県人権センター」で対応する
定時制・通信制教育の振興について
(質問)かまたさとる  定通併修生とは、定時制の学習と通信制の学習を並行して履修する「定通併修」を選択している生徒であり、通常、定時制課程の生徒は、卒業まで4年だが、4年生で学ぶ内容を、通信制の学校で単位を修得することにより、3年生で卒業を認められる。ただ、授業料を実質無償とする高等学校等就学支援金は一つの教育課程のみが対象なので、定時制課程の分を支援金の対象とする場合、通信制課程の単位取得については自己負担をしなければならない。この自己負担分を免除することができないか。
(答弁)教育長 定通併修は、生徒1人あたり年間平均2,800円が本人負担。引き続き、国に対して支援を要望するとともに、県独自の負担軽減の取組みも、その必要性を含め検討する。