県政ニュース89号2024年春

県政ニュース89号2024年春を発行いたしました。

2月本会議での一般質問

1.残された課題
(1)「くまもと再発見のたび」不適切受給問題
(2)川辺川ダム問題
(3)水俣病問題
(質問)かまたさとる (1)第三者委員会による調査開始から既に4か月以上が経過しても、いまだに調査結果が示されない。第三者委員会の調査状況と今後の対応について見解を求める。(2)流水型ダム建設に向けての住民参加は全く不十分で、水害原因の共同検証を県と実施しようと呼びかけている住民団体の要望には全く応じていない。住民団体との共同検証と、環境アセスにおいて住民意見を十分に反映させ、それに基づく知事の意見提出についての考えを尋ねる。(3)昨年のノーモア・ミナマタ第2次近畿訴訟で、大阪地裁は原告全員を水俣病として認め、全原告に1人当たり275万円を支払うよう命じる判決を下したが、国、県、チッソはこの判決を不服として控訴をした。今こそ、国、県で解決のテーブルをつくり、水俣病の早期解決を目指すべきであるが、知事が和解のテーブルに着く気はないか、任期中に原告の皆さんの話を聞くことはできないか。
(答弁)知事 (1)調査はスケジュールを含め委員会に委ねており、内容や公表時期などは示されていないが、高度な識見に基づく調査、審査が行われているものと考えている。知事への報告結果を受け、適切に対応してまいる。(2)住民団体との共同検証は、国、県、流域市町村が連携し、情報収集に全力を尽くした上で、科学的、客観的に行っており、改めての検証は考えていない。新たな流水型ダムは、法と同等の環境アセスメントが適切に進められており、今回の知事意見は国に対する県としての最後の手続となる。新たなダムが環境に極限まで配慮したものとなるよう、私の任期中に取りまとめてまいる。(3)大阪地裁判決について、県としては最高裁判決で確定した判決、国、県の主張が認められた判断枠組み等に基づき、主張と立証を行ってまいる。また、私との面会を求める声は承知しているが、訴訟が進行中のため、担当課にて丁寧に対応するよう指示している。
2.空港アクセス鉄道の速達性と定時性
(質問)かまたさとる 空港アクセス鉄道に中間駅を設置する構想は、鉄道利用客を増やす効果はあるが、空港までの速達性が課題。そこで、新駅・中間駅設置による所要時間への影響についてどのように考えているか。次に、定時性という点で、鉄道利用には事故や災害による急な運休や遅延というリスクを考えておく必要があるが、豊肥本線の県内区間の年間運休日数はどれくらいか、急な運休の際の対応についてどのように考えているか。
(答弁)企画振興部長 JR豊肥本線の運行ダイヤによれば、駅での停車時間は1分程度で、前後の減速、加速を考慮すると数分程度の増加が想定される。今後、JR九州との協議を行う中で、設備改良や快速運行など速達性向上の可能性も視野に入れながら、総合的に検討してまいる。次に、JR豊肥本線の1日に1本でも運休が発生した日数は、令和4年度が26日、5年度が12月末現在で22日と聞いている。仮に運休という不測の事態が起きても、利用者の皆様が代替手段の選択などを速やかに行えるよう、他の鉄道事業者の対応事例等を参考に対応するものと考えている。
3.危険な踏切
(質問)かまたさとる 危険な踏切とは、遮断機も警報器もない「第4種踏切」のことで、県内の現状と今後の改善に向けた取組について尋ねる。
(答弁)土木部長 県内の第4種踏切は56か所。令和3年度からは協議会において、踏切改良に向けた協議や事故防止に有効な対策及び統廃合事例の紹介、鉄道事業者が活用できる補助制度の情報提供等を行っている。今後も引き続き、事故防止対策の取組や踏切の統廃合に関する技術的助言や調整を行うなど、第4種踏切の解消に向け、関係者間で連携して取り組んでまいる。
4.高校入試制度改革
(質問)かまたさとる 今後、進む少子化の中で、特に郡部の高校の存続が大切。郡部の高校の魅力づくりに向けて様々な取組を行っているが志願者増につながっていない現状についてどう考えるか、熊本市一極集中の傾向が強い中、郡部の高校は、前期選抜で一定数の入学者確保ができなくなり、今以上に私立高校入学者が増加するのではという懸念をどう考えるか、入試を一本化した場合に、現在定員割れの郡部の高校への配慮をどう考えるか。
(答弁)教育長 郡部の県立高校においても、令和3年度比で定員充足率が7.9ポイント改善、定員割れの高校のうち5校が募集定員を満たすなど、一定程度の効果が現れてきていると考えている。今後、入試の一本化により出願高校は1校となるため、中学生が地元高校の特色を十分理解した上で受験校を選択できるよう、中学校と連携してまいる。引き続き選ばれる県立高校となるためにさらなる魅力化を図るとともに、その特色等が新入試制度に十分反映されるよう、各高校と連携し具体的な選抜内容の検討を進めてまいる。
5.若者の薬物使用
(1)大麻使用
(質問)かまたさとる 本県における大麻事犯の検挙者数とその推移、年齢層などの現状、若年層への啓発の取組、特に大学生への啓発の取組、SNSへの対策について尋ねる。
(答弁)警察本部長 令和5年中の県内の大麻事犯の検挙人員は55人と過去2番目で、20歳代以下の若年層が全体の約8割を占め、若年層における乱用拡大が見られると認識している。教育現場における薬物乱用防止教室の開催、若年層に人気がある県内プロスポーツチームと連携した啓発活動、大学の学園祭に県警察ブース設置など大麻の有害性や危険性の周知に努めている。サイバーパトロールで違法薬物販売情報を発見した場合は、SNS管理者やプロバイダー等への削除依頼、サイバー防犯ボランティアに対する研修会開催など活動団体拡大と活動活性化を図っている。
(2)オーバードーズ
(質問)かまたさとる オーバードーズは、10代の若年層を中心に拡大しており、薬の大量摂取が増えてきている。県として市販薬乱用の実態を把握するとともに、対策にどのように取り組むのか。
(答弁)健康福祉部長 県では、医薬品販売業者等に対し、あらゆる機会を通して周知するとともに、県庁ホームページ等を通じて情報発信を行っている。特に若年者に対しては、本年度からオーバードーズの危険性を呼びかけており、今後さらに徹底してまいる。

県政ニュース87号2023秋

県政ニュース87号2023年秋を発行いたしました。

県議会での代表質問

TSMCに関する諸課題について

(1)県内地場中小企業への支援

(質問)かまたさとる  T S M Cや関連企業への人材流出が顕著になり、既存の県内中小企業の人材確保が困難な状況になってきている。最低賃金は10月8日には45円上がって898円となり、賃上げを実行するための基礎体力が十分ではないところも多く、この厳しい状況下で、労働環境の改善や賃上げを行う県内中小企業に対しての県としての支援策を講じるべき。
(答弁)知事  国や県の補助事業を活用して生産性向上や賃上げを実施する中小企業者に補助事業の自己負担を軽減する予算を今定例会に提案している。

(2)地下水涵養について

(質問)かまたさとる  T S M Cは地下水を1日約8千500トン採取し、その採取量を超える地下水を涵養する考えを表明しているが、T S M C をはじめ企業進出が増えて、涵養をする水田を確保するのは困難ではないのか。
(答弁)知事 白川中流域におけるかん養期間の拡大や冬期湛水の実施、自川中流域以外での水田湛水の拡充など、農業者の方々と連携し、具体策の検討を進めている。
農地以外においても、雨水浸透ますや雨庭、浸透性の調整池の設置など、地下水のかん養量を確保していく。

(3)排水対策について

(質問)かまたさとる 工場排水は、工場で浄化された上で、菊陽町の下水道を通り熊本市北区にある熊本北部浄化センターまで流されてくる。そこから、坪井川に流されるが、排水による汚染の検査は完全にできるか。
北部浄化センターで浄化処理を行なっているが、その際の汚染濃度の環境検査の数値を公表すべき。万が一センターで有害物質が発見された場合、その流入水を止めることは可能なのか。
下水道法に基づく有害物質の調査は28品目となっているが、県としてより多くの化学物質のモニタリング調査を行うべき。
(答弁)知事 工場排水に含まれる下水道法における対象物質は、関係法令に則って公表することは可能。これらの物質については、あらかじめ、公共下水道管理者の菊陽町が下水道法に基づき基準に適合していることを事前に確認している。
熊本北部浄化センターでは、これまでも問合せに応じ、検査結果を提供している。今後は、更に積極的な公表の方法を検討する。
また、有害物質が発見された場合については、各段階において県、菊陽町、企業が連携し、迅速かつ確実に対応する。
下水道法の対象外の化学物質については、県では熊本北部浄化センターの放流水も環境モニタリングの対象としている。モニタリングでは、規制外の18種類の金属類や有機フッ素化合物250種、そして1万種を超えるその他の化学物質等について、新たな工場が稼働する前後で変化がないか、客観的かつ科学的に環境の変化を把握していく。
「くまもと再発見の旅」不適切受給について
(質問)かまたさとる  T K Uヒューマンの調査を見逃すように指示した上司は知事ではないか。
タクシー券未使用分の160万円について、公金が含まれているので県は返還を求めるべき。この事業はそもそも、事業開始時点での制度設計がわかりづらく、どうにでも解釈されるような曖昧な部分があったのではないか。
県の内部調査だけではなく、第三者による調査をすると名言したが、第三者については、当事者や利害関係人との関係を一切排除した弁護士や学識経験者らを選任して、公正と透明性が担保された調査を行うべき。
(答弁)知事 幹部が見逃しを指示したとの疑いについては、県として第三者委員会の設置も含めて調査するが、私が見逃しを指示したということは一切ない。
タクシー券未使用分については、その適法性を調査する。
「くまもと再発見の旅」は短期間で制度設計を行い、事業を実施したことから、関係者間の連携不足や誤認等が重なったものだと思っている。
第三者の調査委員会については、外部の弁護士で構成する予定で、現在人選を急いでいる。今後、丁寧かつ迅速に調査を行う。
フリースクールとの連携と支援について
(質問)かまたさとる フリースクールやフリースクールに通う子どもたちへの経済的支援と、県とフリースクールなどの民間団体とが定期的に協議を行う場を設置すべき。
(答弁)知事 個々に様態の異なるフリースクールなどに対して、不登校児童生徒の十分な学びの保障と社会的自立の支援のためにどのような連携が可能か、子どもの居場所づくりの観点も含め、市町村とも研究を進める。
県教育委員会と知事部局の関係各課が連携して、フリースクール等の民間団体と、適宜、意見交換を行うことにより、全ての不登校児童生徒の学びの場の確保、居場所づくりに向けてしっかりと取り組む。
ケアリーバーへの支援について
(質問)かまたさとる 児童養護施設や里親などの社会的養護のケアから離れた「ケアリーバー」が施設等を退所した後、頼れる人がいなくなり孤立をしていないか、経済的に困窮していないか、必要な支援策を検討するための実態調査を行なうべき。
(答弁)健康福祉部長 今年度中に、ケアリーバーへのアンケート調査やヒアリングなどを実施し、調査結果を取りまとめ、その後の支援につなげていく。
ヘルメット着用率向上の取り組み
(質問)かまたさとる 本年4月、自転車利用者のヘルメット着用が努力義務となった。ヘルメットを購入するには経済的な負担が伴うので全国の複数の自治体では購入補助金制度を設けているところがある。県としてヘルメット着用を促す具体的取り組みを進めるべき。
(答弁)環境生活部長 ヘルメット購入の補助制度は、今後、努力義務化による着用率の変化や、既に当該制度を導入している他県等における効果等を見極めていく必要がある。
今後とも、警察や教育委員会、市町村、関係団体等と連携し、ヘルメット着用を促す取組みを着実に進める。
A Y A(思春期・若年成人)世代がん患者の支援
(質問)かまたさとる 思春期・若年成人世代をA Y A(Adolescent and Young Adult)世代といい、広くは15歳から39歳までを指す。
現在、40歳未満のがん患者は介護保険のサービスは利用できずに日常生活で必要な経費でも自己負担となっている。そのため、全国では静岡など12県で負担軽減のための補助制度を設けている。本県でもA Y A世代のがん患者の在宅療養支援の補助制度を設けるべき。
(答弁)健康福祉部長 AYA世代のがん患者が抱える介護費用の負担という全国的な課題には、国において一律に支援体制を整備すべきと考えており、これまでも支援制度の創設について、国へ要望してきた。今後も、国に対して支援制度の創設等を様々な機会を捉えて粘り強く働きかけるとともに、次期がん対策推進計画の策定過程における議論等を踏まえ、AYA世代のがん患者が安心して療養生活を送れるよう、更なる取組みを進める。

県政ニュース83号2022年春

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県議会での一般質問

アサリ産地偽装問題について
(質問)かまたさとる 県の統計資料「熊本県の水産」で漁獲量と取扱量に大きな差が明らかになっていたのに、それが見過ごされていた。県行政の信頼が損なわれた一連の対応について第三者も交えての検証を行い再発防止策を講じるべき。1970年代後半からコンクリート材料として川底の砂や干潟に堆積する砂が減少して生育環境の悪化で80年代から漁獲量が減少している。気候変動により頻発する大雨によって大量のヘドロが流れ込んだり、大型公共工事や事業所排水、農薬などの影響でアサリの生育環境が変化している。アサリの漁場回復にも力を入れていくべき。
(答弁)知事  県内の生産量を大きく上回る市場での流通実態に気づかず、偽装の可能性について踏み込んだ対応ができなかったことは反省しなければならない。アサリ資源の回復は漁業者の取組みの推進と、県も履砂事業に取り組むなど継続的な支援を行っている。今後とも、漁業者をはじめ関係機関と力を合わせて迅速かつ着実に取り組みを進める。
新型コロナウィルス感染症対策について

(1)無料P C R検査の継続

(質問)かまたさとる 現在、感染に不安がある無症状の県民を対象に無料P C R検査が実施されている。感染拡大の防止のためには、早期発見、早期隔離が必要。無料P C R検査の継続実施を求める。
(答弁)知事 全国的な検査キット不足に伴い、まずはクラスターが多く確認されている高齢者施設や小学校・保育所の従事者など、より優先度が高い方への検査に重点化を図りたい。そのうえで、無料P C R検査の継続については、検査キットの供給や感染状況等を踏まえて検討する。

(2)コロナウィルス感染症の後遺症対策

(質問)かまたさとる コロナ完治後の後遺症について、周囲の理解とサポートが受けられる啓発も含めた環境整備が必要。他都道府県では後遺症の専用相談ダイヤルを設けて相談を受け付けているが、熊本県も後遺症相談の専用窓口を設けるべき。
(答弁)知事 後遺症の理解が深まるようにホームページで最新の知見や関係情報を発信するなど啓発に取り組む。後遺症を含めた新型コロナに関する相談は専用相談窓口で一元的に受け付ける。

(3)生活困窮学生支援

(質問)かまたさとる まん延防止特別措置で飲食店が時短営業してバイトのシフトがなくなって収入を失った学生が多く出ている。県独自で取り組んだ生活困窮学生向けの給付金交付事業を再開すべき。
(答弁)知事 県内大学と連絡を密に取り合い学生の経済状況の把握に努めている。引き続き、学生の状況を的確に把握し必要な対応を行う。
空港アクセス鉄道について
(質問)かまたさとる アクセス鉄道の需要予測の前提条件である将来の旅客数は、熊本空港の運営会社が掲げる「2051年度はコロナ禍前の2019年度実績の約2倍の622万人」という想定に基づいている。この過大と指摘せざるを得ない2051年度見込みの622万人という旅客数について見直した上で調査検討を行うべき。
(答弁)知事 2051年度に航空旅客数を622万人とする目標値は熊本国際空港株式会社が専門的知見に基づき算出したもの。現在、コロナの影響で航空旅客は大幅に減少しているが、この目標値は今から30年後の長期的なもの。この目標の実現に向けて取り組んでいく。
球磨川水系河川整備計画の策定について

(1)住民及び知事の意見聴取について

(質問)かまたさとる 河川整備計画策定過程において、住民の意見聴取にあたって、住民とは被災者だけを指すのか、流域の住民全体を対象と考えるのか。知事が国に意見を述べる際に、関係者の意見を聞くのか。
(答弁)知事 意見は被災された方々に限らず、広く流域住民の皆様から伺いたいと考えている。知事として意見を述べる際には、流域市町村長の意見を伺うとともに住民の皆様からいただく意見も考慮する。

(2)山の保水力回復について

(質問)かまたさとる 治水政策として山の保水力回復が重要だが、それを流域治水の一環として考え、河川整備計画の中に盛り込むべき。
(答弁)知事 河川整備計画には、森林・林業の関係者との連携強化を盛り込む。

(3)流水型ダムの呼称について

(質問)かまたさとる 「流水型ダム」はゲートを設置して貯水も行う構造のダムなので、流水型ダムという呼称はふさわしくないのではないか。以前の川辺川ダムと同じ場所で、ほぼ同規模のダムなのに、なぜ川辺川ダムとは言わないか。何か印象操作的に感じる。
(答弁)知事 一般にゲートの有無に関わらず、平常時に水を貯めないダムは「流水型ダム」と呼ばれている。このダムは平常時に水を貯留する「川辺川ダム」とは、目的・構造・運用面において異なるものと捉えている。
自伐型林業の支援について
(質問)かまたさとる 環境保全と生業づくりを両立させる小さな林業の「自伐型林業」は、比較的規模の大きな面積の森林を一度に伐採する「皆伐施業」とは対照的に、間伐を約10年間隔で繰り返す長伐期多間伐施業。木がある状態が維持されるので、土砂災害を抑える効果が認められている。自伐型林業が参入しやすい環境づくり、実践的指導の支援、補助金など、自伐型林業の推進に向けた支援を。
(答弁)農林水産部長 これまで新規参入者の意向に応じて、地域の林業関係者に受け入れられるよう市町村、林業事業者及び森林所有者との橋渡しを行っている。新規参入者へ林業経営の改善及び林業技術の向上を目指し組織された林業研究グループへの加入を推進しており、実践的な指導の場にふさわしい。補助金については、自伐型林業者等の小規模林業であっても森林組合等と同様に既存制度での補助対象者となっており、補助内容も同じ。自伐型林業は、高齢化や過疎化等により林業の担い手不足が深刻化する中で、地域のきめ細かな森林の管理に資するものであり、引き続き支援を行う。
女性の社会参画推進と県職員の労働環境改善について
(質問)かまたさとる 県庁の本庁知事部局における課長以上の管理職の女性の割合は12.6%と低い。県職員の男性の育児休業の取得率は3.9%で全国最低。仕事量と人員のバランスが全く取れていない状態で、女性職員の管理職登用や男性の育児休業取得は難しい。男女共同参画の県庁組織とするために職場環境の改善を図るべき。
(答弁)知事 職員のワーク・ライフ・バランスを実現できる職場づくりに取り組むとともに、女性の社会参画の推進を図って参る。
孤独・孤立対策について
(質問)かまたさとる 社会全体のつながりが希薄化している中で、新型コロナウイルス感染症拡大により、人との接触機会が制約されたことで、「孤独・孤立」が問題となっている。対策の強化を。
(答弁)健康福祉部長 生活困窮者やひきこもりの方、ヤングケアラーの相談支援体制を充実するなど、孤独・孤立の予防につながる施策を更に強化する。孤独・孤立対策は不登校児童生徒への支援や、雇用・就労の促進、住宅確保の支援など幅広い分野が関係することから、庁内関係部局との連携を更に強化し、全庁的に取り組みを進める。
労働者協同組合の支援について
(質問)かまたさとる 働く人が自ら出資し、運営に携わる「協同労働」という新しい働き方を実現する労働者協同組合法が本年10月に施行される。県として、新しい働き方であるこの「労働者協同組合」をどのように推進していくのか。
(答弁)知事 市町村や関係団体への説明会を行うとともに、国と連携して県民へ広く周知し、制度の活用に向け取り組む。
教員不足対策について
(質問)かまたさとる 熊本県内においては、昨年5月1日時点で135人が不足。教員不足の要因は、育児休業の取得、病気による休職、特別支援学級の増加などがあげられているが、そもそも過酷な労働環境により教員のなり手が減少していることにあると考えられる。県内の不足教員の対策状況、教員の労働環境の改善などの教員不足解消に向けた取り組みについて尋ねる。また、他府県では、定年退職前に、介護や育児を理由に離職した教員を一般の志願者が受ける試験を免除して再雇用する制度を設けている教育委員会があるが、熊本でも試験の負担が軽くなるような再雇用の制度ができないか。
(答弁)教育長 大学訪問による説明会の実施をはじめ様々な方法で教員確保に取り組んでいる。当面の対応として退職者への働きかけを行い来年度の再任用教職員は小中学校で80人の増加になる。部活動指導員の拡充など「働き方改革推進プラン」の取り組みも加速化する。提案の離職教員再雇用制度は現在の特別選考の要件緩和を検討する。
ヤングケアラー支援について
(質問)かまたさとる 昨年秋に実施した実態調査の結果を踏まえて、具体的にどのような支援を行うのか。
(答弁)健康福祉部長 いつでも気軽に相談できる相談窓口の設置とともに当事者同士が悩みや経験を共有するサロンの開催など寄り添った支援を行う。学校を通じて子どもたちの認知度向上につとめ、市町村や教育機関等と連携し、関係者の理解促進や対応力の向上を図る。

県政ニュース81号2021年夏

県議会報告

県政ニュース81号2021年夏を発行いたしました。

熊本地震から5年経過後の諸問題について

(1)災害公営住宅で生活する被災者の孤立化対策について

(質問)かまたさとる 熊本地震の発生から5年が経過。東日本大震災では5年目以降に孤独死が増えた。災害公営住宅で生活する被災者がどのような生活環境、どのような健康状態にあるのか、把握して支援していくべき。
(答弁)健康福祉部長  県では訪問調査等を実施し、生活再建上の課題が生じていないか把握している。また、心のケアなどに関する調査を毎年実施し、かつ、民生委員やボランティア等といった民間事業者の協力を通じて支援が必要な方を把握している。加えて、地域福祉活動のリーダーとなる人材の育成に取り組み、コミュニティーの形成を支援しているが、今後も体制の構築に努めていく。

(2)福祉避難所について

(質問)かまたさとる 災害時に特別な配慮が必要な高齢者や障害者、妊婦、乳幼児、などのために設置される福祉避難所の機能強化について県の取り組みは。
(答弁)健康福祉部長  福祉避難所について、平常時からの取組を体系的に示した福祉避難所運営マニュアルを平成29年8月に作成し、市町村の取組を支援した。また、熊本県災害派遣福祉チームを設置し、運営体制を強化するとともに、福祉避難所の制度周知等も行っており、今後も福祉避難所の機能強化を進めていく。

(3)ペット同行避難について

(質問)かまたさとる 災害時のペット同行避難は被災者全体の問題として考えるべき。環境省のガイドライン、チェックリストを参考にして「熊本県の同行避難ガイドライン」を策定すべき。また、災害時の同行避難支援を行うために、平常時から民間団体と連携し、人材の育成も行うべき。
(答弁)健康福祉部長  ガイドラインに関しては県で作成している手引きの見直しの中で検討する。また、熊本地震以降、毎年、保健所職員等を対象として民間団体から専門の講師等を招いた研修会の開催や国主催の研修会への参加などにより災害時にペットの同行避難に対応できる人材の育成を行なっており、今後は、更に研修の対象をボランティア団体や市町村職員等に広げる。

(4)避難所以外の避難者への対応について

(質問)かまたさとる 熊本地震では多くの県民が車中泊を経験。災害時における車中泊や自宅避難などの避難所以外の避難者を把握するための県の取組みは。
(答弁)知事公室長  昨年4月に車中泊等の避難場所以外避難に関する今後の取組の方向性と具体的取組例をまとめた。また、地域防災計画にも避難所外避難者への対応を位置づけ、市町村における取組を後押ししている。引き続き、避難所外避難者への支援が確実に行えるよう取り組んでいく。
新型コロナウイルス対策について

(1)コロナ宿泊療養施設の担当職員のワクチン接種について

(質問)かまたさとる コロナ感染者の宿泊療養施設の担当をしている県職員に早急にワクチン接種を行い、感染リスクが少しでも軽減される状況で業務に従事できるようにすべき。
(答弁)健康福祉部長  施設の非感染エリアで連絡調整を担当する県職員など、感染リスクの比較的高い職員等については、一般接種の段階で、新たに立ち上げる県民広域接種センターの活用も含め早期の接種を検討する。

(2)東京オリンピック・パラリンピックの警備に派遣される警察官のワクチン接種について

(質問)かまたさとる 東京オリ・パラに警備に行く警察官が、東京に日帰りでワクチン接種にいっているが、緊急事態宣言地域の東京に行くことは感染リスクもあるし、その交通費を考えた場合、県内の市町村の優先接種枠を活用して対応すべき。なぜ緊急事態宣言地域である東京にワクチン接種に行かなければならないのか、接種のための交通費はどこが負担するのか。
(答弁)県警本部長  派遣する警察官の一部については、東京都で実施されている警察官等へのワクチン接種の対象に含まれていて、現在、接種を受けている。これらの警察官については、東京都公安委員会の援助の要求に基づき派遣され、期間中、東京都での警戒警備に従事することなどを踏まえ、接種対象者に加わることとなったもの。今回の上京の旅費は国が負担する。

(3)東京2020オリンピック・パラリンピックのライブサイトについて

(質問)かまたさとる パブリックビューイングを含むライブサイトを熊本城ホールで開催することが企画されているが、コロナ禍において人流抑制が求められている中で、自宅のテレビで十分に観戦できるオリ・パラをわざわざ人を集めて観戦する必要はない。
(答弁)知事 東京オリパラについては私から小池都知事に対して、東北3県に加えて、熊本県についても復興五輪に位置付けてもらい、熊本地震からの復興を是非応援してほしいと要望していてそのことが熊本でのライブサイトの開催となった。県内の感染状況を注視しながら県民の安全・安心の視点に立って対応する。
空港アクセス鉄道について
(質問)かまたさとる 空港アクセス鉄道については事業費が多額であり、コロナ禍で空港利用者が激減をしている現状の中で、急ぎ結論を出す必要は全くない。
熊本県新広域交通計画での熊本市中心部と空港を約20分でつなぐ「熊本空港連絡道路」が新規路線として追加されている。この道路が整備されれば、短時間で熊本市中心部から空港までをバスで結ぶことができる。その道路を利用したバスとの比較検討も行うべき。
鉄道の方が大量輸送性で優位であるのならば、乗り換えなしの豊肥線からの直接乗り入れにしなければダメだ。これからの検討材料に、直接乗り入れを行う場合の事業費、空港に向かう車両と大津方面に向かう車両に分ける連結切り離し方式の事業費も算定した上で、比較検討を行うべき。
(答弁)知事 需要予測は1日当たり5,000人となり、国、県、JRがそれぞれ総事業費の3分の1を負担した場合、採算性を見込むことができた。また、B/Cは1を上回っている。次に、高規格道路の整備に当たっては、鉄道との関係に十分配慮した上で、相乗効果が発揮されるよう検討を進めてまいる。鉄道の利便性については、平成31年2月のJR九州との同意において、空港アクセス鉄道は豊肥本線への乗り入れをしないこととしている。他の交通モードとの比較だけでなく、利便性向上の方策についても空港アクセス検討委員会で議論を深めながら引き続き検討していく。
ヤングケアラー支援について
(質問)かまたさとる ヤングケアラーとは、慢性的な病気や障害、精神的な問題などを持つ家族の介護や世話をしている子どものこと。本県でもヤングケアラーの実態調査をすべき。そして、ヤングケアラーへの支援について学校と福祉部門、民間支援団体との連携を図って取り組むべき。
(答弁)知事 国の実態調査をベースとして本県の状況を具体的に把握し、支援策につなげるため対象者数を拡充し、調査項目を追加して、秋頃までに実態調査を行いたい。ヤングケアラーは早期に発見し適切な支援につなげて行くことが何よりも重要。そのため、県の実態調査を踏まえつつ、福祉や教育などの関係部局での認識向上、学校現場などにおける早期発見、子どもたちが相談しやすい体制の充実、市町村をはじめとする関係機関との連携体制の構築など、より具体的な支援策の検討を行なう。
生活福祉資金の特例貸付の審査等について
(質問)かまたさとる 熊本県社会福祉協議会は、新型コロナウィルスの影響で収入が減った生活困窮世帯を対象に無利子で生活資金を貸し付ける「生活福祉資金」の特例貸付を、昨年3月下旬に受け付けを開始した。緊急小口資金、総合支援資金の審査で不承認とする場合の申請者への理由の開示と、その方々への寄り添った支援について尋ねる。
(答弁)健康福祉部長 生活福祉資金の審査手続は全国一律の取扱いであり、個々の理由は開示しない。また、そのことについて全ての申請者から事前に同意を取ることとされている。県では県社会福祉協議会における審査、運用は適切であると考えているが、この特例貸付が適切に運用されるよう、引き続き、県社協へ必要な指導などを行うとともに、自立に向けた支援に取り組む。
骨髄移植のドナー登録とワクチン再接種費用の助成について
(質問)かまたさとる 現在、県内では、宇土市、美里町、八代市がドナー登録者への助成をしているが、県からの補助は無い。県としてもドナー登録者への助成について取り組んでいただきたい。また、骨髄移植などを受けると、一度接種したワクチンの効果が失われる場合が多く、感染症予防には再接種が必要。免疫が消失、低下した子供などを対象に県として再接種への助成を行うことができないか。
(答弁)健康福祉部長 県としては骨髄移植の施策については、全国統一的な実施が望ましいと考えており、国に支援策を要望するとともに国や他の自治体の動向を注視しながら、必要な施策について検討していくとともに普及啓発に努めて参る。ワクチン再接種費用の助成については、先行で実施している自治体や県内市町村の実情を踏まえ、助成の必要性も含めて検討していく。

県政ニュース76号2020年春

県政ニュース76号2020年春を発行いたしました。

知事選の関係で例年より早めに開会された2月議会で一般質問に立ちましたので、以下にその要旨を掲載いたします。

新型コロナウィルス対策について(要望)

(1)各保健所と検査業務を行う保健環境科学研究所の体制拡充。対応にあたる職員のストレスや感染リスクについての十分な配慮。
(2)海外からの旅行客への検疫体制強化と手洗い、咳エチケットの励行の徹底。
(3)誤解やデマによる差別や偏見や感染者の人権に最大限配慮した対応。
(4)影響を受ける県内の中小企業への支援。等について要望する。

空港アクセス鉄道の事業費と収支見通しについて
(質問)かまたさとるJR三里木駅から熊本空港までの鉄道整備で380億円とされている事業費の負担は、JR九州が3分の1を上限に負担するとの同意内容になっているが、それは増益効果の一部を支出するとなっている。私は利益を生み出せるのか非常に懸念をしている。赤字ならばJR九州の運用益は少額にとどまり、JR九州からの整備費負担はほとんど期待できない。そうなれば、整備費のほとんどを県民が負担することになってしまい、運行経費の赤字分の穴埋めも県民が負担することになる。
詳細調査によってアクセス鉄道の事業費、ルートを含めた運行方法はどのようになったのか。アクセス鉄道の収支の見通しは。
(答弁)知事 具体的なルートや事業費、採算性などの詳細調査を年度末を期限に独立行政法人鉄道・運輸機構に委託している。その調査結果を精査した上で、速やかに県議会の場で報告する。収支見通しについては、実現可能性の高い目標の622万人の航空旅行者数と中間駅を予定している県民運動公園や免許センター利用者を含めると十分需要は見込まれる。
(質問)かまたさとる これだけの多額の事業費を要する事業であるので、知事選挙までには詳細な事業費等を示すべき。
(答弁)知事 年度末は3月31日。その後、県議会の場で説明する。それと同時に県民に知れ渡る。
気候変動対策について
(質問)かまたさとる 気候非常事態宣言をするべき。
(答弁)知事 気候非常事態宣言は地球温暖化に関して住民と危機意識を共有し気候変動を緩和する政策を進めるものだが、同じ考えから2050年までのCO2排出ゼロ宣言を行った。
FCV(燃料電池自動車)普及の取り組みについて
(質問)かまたさとる 熊本県はFCVの普及に向けて、2015年に熊本県燃料電池自動車普及促進計画を策定し、地方都市圏のトップランナーを目指すと宣言しているが、その成果が見えない。県議会の玄関の横の水素ステーションは平成28年に1億6千万円で整備されて年間の維持費が約300万円ほどかかっているが、県庁の水素ステーションは民間の方は利用できない。県内に燃料供給できるステーションがないので、民間所有のFCV車はゼロ。県庁の水素ステーションを民間の方も利用できるようにすべき。
(答弁)商工観光労働部長 県庁の簡易型水素ステーションは実証用のもの。そのため水素の製造量等に限りがあることや管理運用上の規制があることなどから民間利用は制限している。
フリースクールとの連携について
(質問)かまたさとる  フリースクールへの財政措置をすべき。
(答弁)教育長 新年度から国の事業を活用し市町村に対する教育支援センターの設置支援、教育センター及びフリースクール等へ通う経済的支援が必要な子どもたちに対する通学費等の援助に係る経費を新規予算として計上している。
県内バス事業者の共同経営への県の支援
(質問)かまたさとる  県内バス会社5社が共同経営を行うことを表明した。県内のバス事業の収支はいずれも赤字で運営費総額の約90億円のうち約30億円を補助金で補っている。公的支援抜きでは県内の公共交通網の維持は困難。地方バス路線を守るために県が支援すべき。
(答弁)企画振興部長 県として速やかな共同経営への移行のため事業者と一緒になって計画の策定や関係機関との調整に取り組む。
運転免許証のお試し返納
(質問)かまたさとる  京都府警が高齢のドライバーが運転免許を持たない生活を一カ月送る「お試し返納」に取り組んでいるが、高齢者の免許証返納への心理的な抵抗や不安を緩和するためにお試し期間を設けることは有益だと考える。本県でも実施できないか。
(答弁)警察本部長 京都府警も取り組みを始めたばかりなので、その取り組み注視しつつ引き続き自治体等と連携し自主返納を促進する取り組みを進める。